プリンスとブラック・ヴェルヴェト・カラー

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プリンスは、皇太子のことですよね。ことに、王位継承権のある皇太子のことを、「クラウン・プリンス」呼ぶんだそうです。
でも、英国に限っては、「プリンス・オブ・ウエイルズ」となるらしい。

「プリンス・オブ・ウエールズ、ヴィクトリア女王陛下の長男である。」

1987年に、英国の作家、ピーター・ラヴゼイが発表したミステリ、『陛下と騎手』に、そのように出てきます。
『陛下と騎手』は、皇太子殿下が探偵役という設定になっていますから、プリンス・オブ・ウエイルズが登場するも、当然でしょう。。
ここでの皇太子は、後のエドワード七世に外なりません。ごく親しい人は、「バーティ」の愛称で呼んだそうですが。
十九世紀末、バーティは世界一ダンディーな皇太子でもありました。今も「プリンス・オブ・ウエイルズ・チェック」というのがあります。これもまた、バーティの考案にかかるものです。
バーティはまた、美食家でもありました。

「………ベーコン・エッグ、それもどっさり、続いて薫製のタラ、続いてチキン、続いてバタ付トースト、………」

これはある日の朝食として。飲み物は、たっぷりのコーヒーだったそうです。

「わたしの馬車はノーフォーク・ジャケットを着た男に迎えられた。」

バーティがお好きだったのが、ハンティング。皇太子ご自身もノーフォーク・ジャケットをお召しになったことがあるのかも知れませんが。

また、『陛下と騎手』には、こんな語りも出てきます。

「………わたしは黒ビロードの折襟がついた濃色の外套を着て………」

これはたぶん、ブラック・ヴェルヴェト・カラーのことでしょう。
フランス革命期に生まれた、英国貴族の習慣なのです。フランス貴族への哀悼の印として。
どなたかブラック・ヴェルヴェト・カラーのチェスターフィールドを仕立てて頂けませんでしょうか。

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