スクリーンは、銀幕のことですよね。ここから転じて「映画」を意味することもあります。スクリーンには、多くのスタアが登場すること、言うまでもありません。
スクリーンはまた、おしゃれと無関係でもないのですね。たとえば、「シルクスクリーン」。これはもともとは、印刷の方法。絹地を使うので、その名前があります。絹に模様を描いて、その上から顔料をのせてゆく。すると模様の部分だけが印刷される仕組みなのです。
ひとつの例ですが、細かい、立体にも想える精密なスカーフのプリント柄。あの多くのスカーフ柄は、シルクスクリーンで仕上げられるのです。
基本的に色数の分だけのシルクスクリーンが必要になってきます。そのスカーフの柄が何色で構成されているのか。色数が多ければ多いほど、手間をかけたスカーフだとは、言えるでしょう。
スクリーンが出てくる小説に、『アヴェ・マリア』があります。大正十ニ年に、谷崎潤一郎が発表した中篇。
谷崎潤一郎の原文では、「エ」に濁点のヴェになっているのですが。
「今此スクリーンの上で銀蛇のやうに燃えてゐるもの、あの白目の源を成す一人の女は、ビーブ・ダニエルと呼ばれる亜米利加の若い女優ではないか。」
くどいようですが、『アヴェ・マリア』は、中篇。
「中篇とは、長篇よりも短く、短篇よりは纏まつた二百枚前後の作品。」
ご本人が『アヴェ・マリア』について、そのようにおっしゃっているのですからね。
スクリーンの出てくる小説に、『家族のなかの死』があります。1957年に、アメリカの作家、ジェイムズ・エイジーが発表した物語。
「………ピアノがテンポの速い音楽を奏でると、スクリーンでは、走りまわる馬が、仰々しい土煙りを、まるで旗のように高く掲げていた。」
これは西部劇の一場面として。
また、『家族のなかの死』には、こんな描写も出てきます。
「袖をガーターで留めたシャツだけが、幽霊のようにぼんやり闇に浮かぶ………」
これは水撒きをしている男の様子として。
「スリーヴ・ガーター」sleeve garter は、アーム・バンドのことです。シャツの袖の長さを調節するための道具。
どなたか見せたくなってくるようなスリーヴ・ガーターを作って頂けませんでしょうか。