ジャズとジュイ

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ジャズは、音楽のひとつですよね。「モダン・ジャズ」なんて言うではありませんか。
ジャズで巴里でというと、ヴィアンを想う人も少なくないでしょう。もちろん、ボリス・ヴィアンのことです。
1939年頃の巴里の流行に、「ザズー」があったのは、ご存じの通り。このザズーの先頭に立っていたひとりが、ボリス・ヴィアンであります。
フランスの俗語「ザズー」は、ジャズから生まれた言葉だと信じられています。それはもともと「ジャズ狂」の意味だったという。
1938年、デューク・エリントンは演奏旅行で、巴里に。この時、ボリス・ヴィアンはデューク・エリントンに会って、感動。それで、トランペットに親しむことに。
トランペットを吹けるようになったボリス・ヴィアンは、早速仲間を集めてジャズ・バンドを結成してもいます。

「………底の厚いラバーシューズに、小さな真白いソックスをはいていた。」

1946年に、ヴァーノン・サリヴァンが発表したハードボイルド小説『墓に唾をかけろ』の一節。フランス語への翻訳が、ボリス・ヴィアン。
ということなんですが、ヴァーノン・サリヴァンは架空の作家。ほんとうは、ボリス・ヴィアンがいきなりフランス語で書いたハードボイルド小説だったのですね。

「………空色のスーツを着て、上着がふくらはぎまで垂れ下がっていた。背中に三つのスリットと七つの襠、重ね合わせた二つのハーフベルト………」

フィリップ・ボッジオ著『ボリス・ヴィアン伝』には、当時のザズーの服装をそのように描いています。

ジャズが出てくるミステリに、『ジェリコ公爵』があります。1930年に、モオリス・ルブランがは発表した物語。

「………まるで超奇想天外のジャズ・バンドのオーケストラ指揮者のようにてんてこまいをし………」

また、『ジェリコ公爵』には、こんな描写も出てきます。

「心地よく晴れやかで、すっかりジョイ布で張りつめた船室は、そこここに骨董品がおかれ………」

これは船の中の様子として。
「ジュイ」Jouy は、フランスの伝統的な更紗模様のこと。「トワール・ド・ジュイ」のことです。
1924年に、藤田嗣治はジュイを背景にした裸婦を描いています。
その昔、巴里郊外の、ジュイ・オン・ジュザで織られていたので、その名前があります。
どなたかジュイの上着を仕立てて頂けませんでしょうか。

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