レッテルは、商標のことですよね。ラヴェルとも言います。ワインなどにもレッテルが貼られているではありませんか。そのレッテルによって中身を推し量ったりするわけですね。
もっとも今の時代にはレッテルとは言わないでしょうが。「エティケット」。この方がおしゃれな感じになります。
レッテルは、オランダ語の「レテル」letter から来ているんだそうですね。もちろん「文字」の意味。英語なら、「レター」Ietter でしょうか。
「それはたしかに、ずんぐりした形、古風なレッテルのオールド・パーだったからである。」
1966年に、丸谷才一が発表した小説『笹まくら』に、そのような一節が出てきます。1966年には、「レッテル」はまだ現役だったのでしょう。
レッテルを偏愛した作家に、稲垣足穂がいます。とうに吸い終えた葉巻の箱がどうしても捨てられなかったという。
それは「タバカレラ」という銘柄の葉巻で独特のレッテルになっていたから。
稲垣足穂はなにも葉巻だけでなく、キャラメルの箱、チョコレエトの箱が捨てられなかった。
大正十年頃の「森永チヨコレート」のレトロなレッテルがお気に召して。
レッテルが出てくる小説に、『嘔吐』があります。1938年に、フランスの作家、サルトルが発表した物語。
「結局、彼は私に僅かなものしか求めていない。単に一つのレッテルを受け入れる、ということだ。」
また、『嘔吐』には、こんな描写も出てきます。
「彼はスーツの代わりに、ジッパーのついた革のジャンパーを着ている。」
「彼」とは、「独学者」と呼ばれている男のこと。
「革のジャンパー」。レザー・ブルゾンでしょうか。
どなたか1940年代のレザー・ブルゾンを再現して頂けませんでしょうか。