トンネルは、長い抜け道のことですよね。tunnel
と書いて「トンネル」と訓みます。古代バビロニアの時代から、すでにあったそうですから、トンネルの歴史は古いのでしょう。
2007年に発表された小説に、『トンネル』があります。英国の作家、ロディック・ゴードンとブライアン・ウィリアムズとの共著。
「つるはしは火打石のように火花を散らして土壁にあたると、鈍い衝撃とともに突然はまり込んだように動かなくなった。」
火との手でトンネルを掘るのは、たいへんなことなのでしょう。
九州の大分県に行きますと、「青ノ洞門」があります。曽木の、青という地区にあるので、「青の洞門」と呼ばれるわけです。
青の洞門は、十八世紀に、「禅海」が掘ったと伝えられています。この地に青の洞門ができるまでは、あ「鎖渡し」。崖を、鎖頼りに渡ったという。そのために何人もの尊い命が奪われたんだそうです。
曽木の青で、その話を聞いた禅海は、穴を開ければ良いではないか。それで、「青ノ洞門」が開かれた。三十年の後に。
この実話を小説にしたのが、『恩讐の彼方へ』です。大正八年に、菊池 寛が発表した物語。
「彼は、石工のの持つ槌と、鑿とを手に入れて、此の大絶壁の一端に立つた。」
菊池 寛の『恩讐の彼方へ』には、そのように出ています。ここでの「彼」が、禅海を指していることは言うまでもないでしょう。
うーん。人はやろうと思えばできるものなのですね。
トンネルが出てくる小説に、『舞姫』があります。昭和二十五年に、川端康成が発表した物語。
「小路の右のトンネルにはいった。」
これは北鎌倉のトンネルのことでしょう。北鎌倉の駅近くに、たしかにトンネルがあります。小さな小さなトンネルではありますが。
川端康成の『舞姫』には、こんな描写も出てきます。
「野津は頭に、細かい水玉模様のある、紺色の絹を巻いていた。結び目なしに、うまくまとめていた。」
水玉模様。「ドット」dot でしょうか。たぶんピン・ドットのスカーフかと思われます。
どなたか織柄のドットのネクタイを作って頂けませんでしょうか。