ハモン・セラーノとバティスト

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ハモン・セラーノは、スペインの生ハムのことですよね。一度も火入れをしていないので、「生ハム」。日本でいう「風干し」。
ハモン・セラーノは、「山のハム」の意味。標高の高い、乾燥した空気の中で、熟成させるからです。
スペインは、生ハム大国。一年に、1400万本の生ハムを消費するんだとか。これは一人当たりに換算いたしますと、4、2キロの生ハムを食べている計算になります。
ハモン・セラーノで強調されることに、「ベジョータ」があります。ベジョータは「ドングリ」のことです。ドングリを食べた豚の生ハムが上質だとされます。
ベジョータ。これは豚さんに外出させることでも。ただ小屋にいて、飼料が与えられるのではなく、自分で野山に出て、ドングリを探す。これが豚さんにとって良い運動に。つまり、よく引き締まった筋肉質になるわけですね。
ただし、そのためには、広い、自然の森が必要になってくるのですが。
また、ハモン・セラーノをよく美味しく食べるには、カットが大切。この生ハムをカットするためのプロのことを、「コルドナータ」。洒落者は店によって贔屓のコルドナータが決っているんだそうですね。

スペインが出てくる小説に、『愛書狂』があります。フランスの作家、フロベエルが、1837年に発表した短篇です。
『愛書狂』は、スペインのバルセロナが舞台になっています。物語の主人公は、古書店を営む「ジアコモ」という設定になっているのです。このジアコモがとびきりの愛書狂ということで物語が進んでゆくのですね。
ジアコモには、強敵が一人いて、「バティスト」。一冊の貴重な本を、ジアコモとバティストとが、競い合う内容になっています。

「………その矢さきに、バティストが「四十ピストル」と口を切った。」

ここから二人は、値をせり上げてゆくのですが。

「バティスト」 batiste は、人の名前でもあり、生地の名前でもあります。薄く、張りのある生地。
十三世紀に、フランスのジャン・バティストが織りはじめたので、その名前があります。
どなたか極上のバティストでシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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