ぽっぺんとボタン・ホール

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ぽっぺんは、昔の玩具ですよね。硝子製のおもちゃなので、「ビードロ」とも呼ばれたものです。
江戸時代の硝子の玩具。「ぽぴん」の名前もあったとか。細長い筒になっていて、一方の端から口で吹くと、もう一端のガラス板がたわむ。このたわむとき、「ぽっぺん」と音がする。それで、ぽっぺん」の名前になったのでしょう。
歌麿の美人画に、『ビードロを吹く女』があります。あれはもちろんぽっぺんを吹いているところなんですね。

ぽっぺんが出てくる小説に、『おらんだ恋歌』があります。作家の神吉拓郎が、1989年に発表した時代物。
オランダの使節、ドゥーフの日本での様子を描いた物語です。

「びーどろは、ぽっぺんとも呼ばれる。吹けば、ぽっぺんと、可愛い音を立てて鳴る。」

これは名人の作った自働人形がぽっぺんを鳴らす場面。それを見たドゥーフが驚くのですが。
神吉拓郎は小説にも随筆にも優れた作家で、1988年には随筆集『ベルトの穴』を発表しています。この中に。

「襟の穴というのは、妙なものだ。
穴があいているから、ちょっとなにか挿してみたくなる。」

そんなふうに書いています。たぶん、上着の襟穴のことでしょう。
「ボタン・ホール」button hole。あれは昔の第一ボタンの名残なのです。第一ボタンを外し、前身を半ば外に倒した時、今の背広が生まれたのであります。
さて、ボタン・ホールはどうすれば良いのか。

「やはり、襟の穴は、処女のままか、まれに花でも挿すがいい。」

神吉拓郎は、そのように結論しています。
どなたか花を飾りたくなるボタン・ホールに仕立てて頂けませんでしょうか。

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