DとD・B

Dは、アルファベットのひとつですよね。
ABCと来て、四番目の文字が、Dであります。
おしゃれ語にもDではじまる言葉が少なくありません。
「ダンヒル」もあれば、「ダックス」もあります。
DAKS と書いて「ダックス」と訓むのですが。また、Dの文字が背中合わせに並んでいる形が、商標にもなっています。
「ダックス」そもそものはじまりは、1894年のこと。ロンドンのサヴィル・ローで。
シメオン・シンプソンが開いたテイラー「ハウス・オブ・シンプソン」だったのです。
1932年になって、息子のアレクサンダー・シンプソンが二代目になって。
1934年に「ダックス」を発表。これはブレイシーズ(サスペンダー)を必要としないスラックスだったのですね。
その商品名が、「ダックス」。これは「ダディのスラックス」の意味として。
この「ダックス」が好評だったので、店名も「ダックス・シンプソン」と呼ばれるようになったものです。
「ダックス」は今もロンドン高級紳士服店として存在していること言うまでもありません。
十六世紀のロンドンに、「ダガー・エール」という店がvあって。はじめは賭博場。やがて居酒屋になって。「ダガー」dagger は「短剣」の意味なのですが。
「ダガー・エール」は居酒屋にふさわしい名前なのでしょうか。同じ頃のロンドンに、別経営の「ダガー・エール」もあったという。
「ダノックス」dannock`s。これは「庭仕事用の手袋」のこと。これはドーアネックスから出た言葉。ドーアネックスは、ベルギーの地名。この地で最初に作られた手袋だったので。
Dではじまる推理小説に、『Dの複合』があります。昭和四十年に、松本清張が発表した物語。

「伊瀬忠隆は流行らない小説家である。」

この伊瀬忠隆が偶然のことから事件に出会って。それを推理してゆく内容になっています。
「流行らない小説家」は、ご謙遜でしょう。でも、作家が主人公になるのは、松本清張にとって書き易かったのかも知れませんが。
それにしても、松本清張の博覧強記ぶりには、舌を巻くばかりです。いったい頭の中がどうなっているのか。

「そこで折々の読書に際してカードにその一部を書き抜き、要約を付し、書名と該当ページをつけた。要すればそのときの感想も付した。感想は思いつくままである。」

松本清張が1985年に発表した随筆『読書忘備カード』の中に、そのように書いてあります。
これらのカードを整理して、ケーキの空き箱に入れていたとのことです。
松本清張が1961年に発表した推理小説に、『砂の器』があります。1974年には、映画化もされているのですが。この映画音楽を担当したのが、芥川也寸志。
芥川也寸志はあくまでも「音楽監督」の立場だったのですが。
この『砂の器』が好評で、1977年には、『八甲田山』
、『八つ墓村』をも担当。これらの映画音楽に対して第一回「日本アカデミー賞」を受けています。
芥川也寸志がお好きだったのが、ブレイザー。ネイヴィ・ブルウのブレイザー。
ダブル前のブレイザー。六つボタン型の。
ダブル・ブレステッドの頭文字から、「D・B」と呼ばれることもあります。
どなたか八つボタン型のD・B・ブレイザーを仕立てて頂けませんでしょうか。