エスパニョールは、スペイン風ソースのことですよね。
あるいはもっと広く解釈して、スペイン料理を指すこともあるらしい。
Espgnole と書いて「エスパニョール」と訓みます。
昭和十四年にスペインを旅した作家、野上弥生子がいます。
その時の旅の様子は、『スペイン日記』に詳しく綴られているのですが。
「ヴィスカヤ湾の鮪のさしみで、おいしい日本食を頂く。スペイン名物のアニスもおいしかった。」
野上弥生子は昭和十四年八月十六日の『日記』に、そのように書いています。
野上弥生子はスペイン料理の「チピロネス」についても。
「いかの墨煮。足のほかにハムなど細かく切って油でいため、烏賊の袋と米とともに詰めて煮込んだものを拵える。」
そのように説明しています。これは昭和十四年八月十七日の『日記』に。
1937年3月18日。スペインのバルセロナに行った作家が、ヘミングウェイ。
ヘミングウェイはこの時、スペイン内戦を取材したいと思ったので。
このスペイン内戦の取材から生まれた小説が、『誰がために鐘は鳴る』(たがためにかねはなる)なのですね。
ヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』は、名作であると同時に、最大の長篇でもあります。
「11月5日、キャパとヘミングウェイは、モラ・デ・エブロまで行き、危険なエブロ川をボートで渡って、リステル将軍とその第五軍団を訪ねてそこで1日を過した。」
写真集『ロバート・キャパ スペイン内戦』のなかで、リチャード・ウェーランは、そのように書いています。
ヘミングウェイがスペイン内戦を取材したように、ロバート・キャパもまた、写真機を持って取材。
その結果、小説として表現されたのが、『誰がために鐘は鳴る』であり、写真集として表現されたのが、『スペイン内戦』だったことになります。
キャパの写真集『スペイン内戦』を開いて観ると。いかなる理由があっても、戦争は許すべきではない。誰もがそんな気持になるでしょう。
ヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』を読んでおりますと。
「「わたしは水に足をつけたいよ」女房は言って、縄底の靴をぬぎ、厚ぼったい毛の靴下をとって、右足を流れにいれた。「まあ、つめたい」」
これは「マリア」という女性の言葉として。
ここでの「縄底の靴」は、「エスパドリーユ」
espadrille ではないでしょうか。
第一の特徴は、ロープド・ソール。濡れた岩場の上でも滑らない用心のために。
どなたか1930年代のエスパドリーユを作って頂けませんでしょうか。