骨董は、アンティークのことですよね。
年代物のことであります。
英語なら、アンティークantique でしょうか。
アンティークはラテン語の「アンティクウス」から来ているんだとか。その意味は「古代の」であったという。
一般にアンティークは百年以上前のものというのが、条件になるんだとか。
百年前であるのか、千年前であるかはさておき、世にアンティーク好きは少なくありません。
年代物の自動車がお好きだとか。とにかくコンピュータの入ってない自動車を。
車の前に回って、クランクを回してからエンジンをかけてみたいのでしょう。
「持ったが病」と申しますが、まあ「病」のひとつなんでしょうね。
「主人は骨董を売買するいか銀と云ふ男で、女房は亭主より四つ許年嵩の女だ。」
夏目漱石が、明治三十九年に発表した『坊っちゃん』に、そんな一節が出てきます。
これは松山での下宿の話として。
下宿の下見をしている場面なんですね。「山嵐」が紹介してくれた下宿を見に行って。
この帰り道「山嵐」は坊っちゃんに氷水を奢ってくれた。そんな話も出てきます。
うーん。考えてみれば『坊っちゃん』の小説でのアンティークかも知れません。
もっとも年代物とは言わずに「古典」と呼ぶのでしょうが。
「今日は朝から親旦那のお供をして京都の骨董市へ出かけて行つた。」
昭和九年に、藤澤恒夫が発表した『大阪の宿』に、そんな文章が出てきます。
これは心斎橋筋の帽子屋「アルスギ」の二番番頭、山野鹿蔵の話として。
骨董屋が出てくる小説に、『法王庁の抜け穴』があります。
フランスの作家、アンドレ・ジイドが、1914年に発表した物語。
「わたしが骨董屋でもしているとお考えですか! 」
これは修行僧がマダムに宝石を見せている場面として。
また、『法王庁の抜け穴』には、こんな描写も出てきます
「前のほうがV字型に切りこまれ、先端の折れ曲った中高のカラーに包まれた首筋は、がっしりしていた。」
これはシャツにネクタイを結んでいるところ。
たぶん、ウイング・カラーのことかと思われます。
フランス語なら、「コル・カッセ」col casse でしょうね。
どなたかアンティークの生地でコル・カッセのシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。