小倉と浴衣

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小倉と書いて、「こくら」とよみます。古い時代からの、織物。多くは「小倉木綿」と言って、コットンで仕上げられます。
縞柄もあり、霜降り調もあり。以前は小倉の学生服もありました。夏になると、小倉の学生服。コットンだからウールに較べて涼しかったのでしょう。小倉は北九州の小倉にはじまったので、その名前があります。少なくとも江戸期には小倉木綿が織られていたという。
その小倉にはもうひとつ名物があって、栗饅頭。「湖月堂」の栗饅頭。「湖月堂」は和菓子屋ですから、なにも栗饅頭だけではありませんが。いろんな和菓子をも作っています。が、なかでも有名なのが、栗饅頭。「湖月堂」は今様に申せば、カフェでもあって、店の中で菓子を食べることも、食事をすることもできます。「湖月堂」は、明治二十八年の創業というから、古い。
「湖月堂」の姓は、小野。小野家の五男坊に、「五郎」がいた。この小野五郎と仲良しだったのが、松本清張。松本清張の三つ下が、小野五郎で、家が近所。少年の松本清張が「湖月堂」のデザインを手伝ったことも。また、清張が作家になってからは、清張が「湖月堂」の宣伝に出たこともあるようですね。
小野五郎の家には、ハーレーダヴィッドソンがあった。ハーレーダヴィッドソンのサイドカー。ある時、五郎が運転して、清張とドライヴ。ドライヴの帰り道に。田圃に落ちてしまって。清張の着ていた浴衣は泥だらけに。後で五郎は菓子折りを持って。清張の母にあやまったそうですよね。
ということは。この時。松本清張、浴衣でハーレーダヴィッドソンに乗っていたわけですね。
ハーレーダヴィッドソンに乗るかどうはさておき。時には、浴衣もいいものですが。

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