プラムはフルーツの一種ですよね。プルーンもまた、プラムの親戚なんだそうです。
プラムは日本語で、すもも。プラムは中国で、李。「李下に冠を正さず」は、すもものことだったんですね。すももが美味しく実っているときに、帽子をかぶり直してはいけませんよ、教えていたのでしょう。
すもももももももものうち
ありましたねえ、早口言葉に。一回や二回なら、なんとか言えるんですが。十回、最速で、となったらお手あげであります。
となりのきゃくはよくかきくうきゃくだ
隣の客は良く柿喰う客だ
なんでも言葉なんですが、最速となると、必ずつっかえてしまいます。
咲けよ咲けよ 酒よ酒よ
鮭よ鮭よ 避けよ避けよ
咲けよ酒よ鮭よ避けよ
鮭よ咲けよ避けよ酒
まあ、いろんな早口言葉があるものですね。いや、どうして早口言葉になったのか。プラムの話をしていたつまりなんですが。
プラム・プディングがお好きだったお方に、古川ロッパがいます。
「八時近く食堂へ、トマトクリームとプラム・プディングうまし。」
『古川ロッパ昭和日記』には、そのように出ています。昭和15年2月2日 (金曜日 ) のところに。この前日、古川ロッパは、「箱根富士山ホテル」に泊まっています。この日、古川ロッパは何度も食堂に行き、何度も食事をして。その何度目かの記録がこれなんですね。「プラム・プディングがお好きだった」といって、それほど大きな間違いではないでしょう。
プラムが出てくる小説に、『失われた時を求めて』があります。もちろんマルセル・プルーストの傑作。
「その足取りにはプラム色のスカートに泥がはねないようにする気づかいなど皆無だったから…………………。」
プラムはプラムでも、「プラム色」なのですが。1900年代のフランスでは、しばしば「プラム色」が用いられたものと思われます。また、『失われた時を求めて』には、こんな描写も出てきます。
「雨に濡れないよう大きなプレッドに身をつつむと、そのタータンチェックの縞模様がフランソワーズの顰蹙を買うので……………………。」
ここでの「プレッド」 p l a id は、プレイドのフランス訓み。スコットランドのタータンははじめ、肩の前に結んで、留めた。その肩前に拡げた部分をプレイドと呼んだものです。
なにかタータンを身につけて、美味しいプラム・プディングを食べに行くといたしましょうか。