フードはかぶり物のひとつですよね。
h o od と書いて、「フード」。これはたぶん日本式の言い方でしょう。英語式なら、「フッド」でしょうか。
フードは帽子にも似ていますが、帽子とは異なります。帽子が頭にフィットさせてかぶるのに対して、フードはゆるやかに頭にかぶるものです。
中世の特徴的なフードに、「リリパイプ」 l ir ip ip e があります。男も女も同じようなかぶったフードなのですが、先端が細く、長く、尖ったフード。少なくとも一mの長さはあったらしい。これをお下げ髪のよう背中に垂らしてかぶったのであります。
「リリパイプ」は、1350年頃から用いられている英語なんだそうですが。さらに前には、「リリピィピィウム」 l ir ip ip i um というかぶり物があって、そこから生まれているんだそうです。この「リリピィピィウム」は、主に僧侶などが使ったフードだったらしいのですが。
フード H o od はまた人の名前でもあります。もっともこの場合には「フッド」と訓むべきでしょうが。
たとえば、トオマス・フッド。トオマス・フッドは英國、十九世紀の詩人であります。
1799年5月23日に倫敦に生まれている人物。トオマス・フッドの代表的な詩は、『シャツの唄』でしょう。
『シャツの唄』は、1843年の『パンチ』、クリスマス号に発表。多くの人たちの共感を呼んだものです。それというのも、『シャツの唄』にはメロディが添えられて、流行歌になったほどなのです。
1840年代のシャツはすべて手縫いで、若い女工の仕事だったのです。その女工の可哀想な様子を詠った詩だったのですね。
トオマス・フッドとおしゃれもまた、まったく無関係ではないわけです。
フードが出てくるミステリに、『黄昏に眠る秋』が。2007年に、スゥエーデンの作家、
ヨハン・テリオンが発表した物語。
ヨハン・テリオンの『黄昏に眠る秋』は、スゥエーデンの「推理作家新人賞」を得ています。それのみならず、英国推理作家協会の「優秀新人賞」にも輝いています。「英国推理作家協会」としては、はじめての外国語推理小説に与えられた賞なのです。
「………隣には小さな灰色の磁器の地の精が緑色のフードをかぶり、出入りする者を笑顔で見つめていた。」
これは主人公の看護師「ユリア」が、他家の庭を眺めている場面で。
また、『黄昏に眠る秋』には、こんな描写も出てきます。
「………首には厚い毛糸のスカーフを巻き、耳が隠れるまで深くフェドーラ帽をかぶった。」
これは、ユリアの父で、元船長の、「イェルロフ」の着こなし。
日本語訳は、三角和代。正しく「フェドーラ」と表記されています。
「フェドーラ」と、「トリルビイ」は、同じくブリムのカーヴが強いソフト帽のこと。
ただし、主にフランスで、「フェドーラ」。主にイギリスで「トリルビイ」と呼ぶ傾向があります。
ここから推理するかぎり、スゥエーデンでは、「フェドーラ」なんでしょうね。
どなたか完璧のフェドーラを作って頂けませんでしょうか。