アパルトマンとアンサンブル

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アパルトマンは、アパートのことですよね。正しくは、アパートメント・ハウスでしょうか。
アパートメント・ハウスを短くして、アパート。フランスなら「アパルトマン」でしょうか。

🎶 モンマルトルの アパルトマンの……………。

シャンソンの『ラ・ボエーム』にも、アパルトマンは出てきます。
もちろん日本の歌にも例がありまして。

🎶 二人暮したアパートを 一人ひとり出てゆくの……………。

たしかそんな歌詞だったような記憶があります。題名は、『爪』。

🎶 爪をかむのは よくないわ……………。

そんな歌詞が出てくるので。

「彼女はハドソン河に近いアツパーメントに住んで居ると云ふので、ブロードウエーを北へ小半時間、市内目抜の場所を離れると……………………。」

永井荷風の『あめりか物語』に、そんな一節があります。
場所は当時のブロードウェイ。時は、深夜二時。荷風は「マリアン」という女性と知り合って。マリアンを馬車で、送って行く場面。
荷風は、「アツパーメント」と書いているのですが。

「………友人の木村と風変りな生活をして居る、淀橋のある小さなアパートメントに、彼女たちも一緒に居たので……………………。」

昭和三年に、龍膽寺雄が発表した『アパアトの女たちと僕と』に、そのような文章があります。
龍膽寺雄は、「アパアト」と書き、また「アパートメント」とも書いています。
一方、アパルトマンが出てくる小説に、『ぼくは行くよ』があって。1999年に、
フランスの作家、ジャン・エシュノーズが書いた創作。

「一人の男がミケランジェロ通りの入り口から、そうしたアパルトマンの一棟の女性管理人に話しかけた。」

今も昔もパリにアパルトマンはつきもので。また、アパルトマンにつきものが、コンシェルジュということになっております。たいていは一階の入口近いにいて、なにかと用事が頼めるので、便利です。
『ぼくは行くよ』を読んでいますと。

「………ゆったりした黒いアンサンブルをまとい、服の背中は大きくえぐれていて……………………。」

「アンサンブル」ens embl e は、もともと「一緒に」の意味なんだそうですね。つまり、上下、「一緒に」着るように考えられた組み合わせのこと。スーツの一歩手前でしょうか。

「………ベルトの下で水際だつて美しく締つてゐるアンサンブルの、胴のあたりをぢつと眺めずにはゐられなかつた。」

昭和七年に、横光利一が発表した『寝園』に、そのような一節が出てきます。
どなたか男物のアンサンブルを仕立てて頂けませんでしょうか。

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