キャラコは木綿生地のことですよね。calicoと書いて、「キャリコ」と訓みます。れっきとした英語。なんでも1540年頃からの英語なんだそうですから、古い。
当時のインドの港、「カリカッタ」から送られてきた綿布だったので、「キャリコ」の言葉が生まれたんだそうですね。
「ヅボンは薄羅紗の千筋、小紋置きたるキヤリコの鉢巻せる麦殻帽子を弓手に持ち」
尾崎紅葉が、明治二十一年に発表した小説『風流 京人形』に、そのような一節が出てきます。
尾崎紅葉は、「キヤリコ」と書いているのですが。ここに「鉢巻」とあるのは、おそらくハット・バンドのことなのでしょう。
明治の頃には「キャリコ」だったのでしょうか。その後に「キャラコ」となったものかも知れませんね。
キャラコが出てくる小説に、『荒涼館』があります。英国の作家、チャールズ・ディケンズの名作。
「スナグズビー氏はキャラコの袖とねずみ色の上衣をぬぎ、黒い上衣を着て、帽子かけから帽子を取る。」
ここでの「キャラコの袖」は、袖カバーのことかと思われるのですが。
また、『荒涼館』には、こんな描写も出てきます。
「………真新しい洋服、ぴかぴか光る帽子、ふじ色をした子山羊革の手袋………」
これは「ガッビーさん」の着こなしとして。
「子山羊革」はおそらくキッド kid のことでしょう。極上の手袋には最適の材質。薄くて、伸縮性に富んでいるので。
どなたか紫のキッドでチョッキを仕立てて頂けませんでしょうか。