ホームズとスコッチ

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

ホームズといえば、シャーロック・ホームズでしょうね。コナン・ドイルが生んだ、名探偵ですよね。
そして、シャーロック・ホームズだったのが、ラスボーン。ベイジル・ラスボーン。英国の俳優。
多くのホームズ映画に出演して、ホームズよりもホームズらしいと言われた人物。ラジオ放送でのホームズ物にも出ていますから、声優でもあるわけですね。というよりもホームズの声は、ラスボーンの声だったのです。
ベイジル・ラスボーンはもともとシェイクスピアの舞台俳優。1911年の『じゃじゃ馬ならし』がデヴューなんだとか。
その後、第一次世界大戦をはさんで、ふたたびシェイクスピアに戻る。ではそのベイジル・ラスボーンがどうして、シャーロック・ホームズを演じることになったのか。それは1939年の、あるパーティがきっかけに。
そのパーティの席で。ダリル・F・ザナックが偶然、ベイジル・ラスボーンを見かけて。「あ、ここにホームズがいる!」と思った。ダリル・F・ザナックは当時「20世紀フォックス」の社長だった人。
そんなことから、『バスカーヴィル家の犬』に出ることになったんですね。ただし、ラスボーンにもひとつだけ、条件があった。それはワトソン役に、親友のナイジェル・ブルース使って欲しい、と。この条件は受け入れられて、ラスボーン・アンド・ブルースの配役が決まるんですね。
すると、このラスボーン・アンド・ブルースの組み合わせが、大当たり。
これから後、「ホームズとワトソン」は、「ラスボーンとブルース」の配役となってゆくんですね。
かくして観客からは、「ホームズはラスボーン」、「ワトソンはブルース」が動かせなくなってしまう。そんなわけでラスボーンはシェイクスピアに出られなくなったとか。あまりにホームズの印象が強すぎて。ホームズのハムレットというのも、難しいでしょうね。「喜ぶべきか、悲しむべきか、それが問題じゃ。」
シャーロック・ホームズの話が出てくる小説に、『ダロウェイ夫人』が。ヴァージニア・ウルフが、1925年に発表した名作。

「粥を食べるホームズ、シェイクスピアを読むホームズなどそんな作り話をして……」

また、こんな描写も。

「父が五十年も服を買っていた店にはスコッチ織が一巻ある。」

これは朝の、ボンド・ストリートを眺めている場面。たぶんテイラーなんでしょう。「スコッチ織」が、トゥイードであるのは言うまでもありません。
さて、トゥイードの上着を羽織って。ホームズ映画を観に行くとしましょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone