アリスで、イギリスでということなら、『不思議の国のアリス』でしょうね。
『不思議の国のアリス』はもちろん、ルイス・キャロル。ルイス・キャロルの本名は、チャールズ・ラトウイッッジ・ドジソン。オックスフォード大学の数学の先生が、その正体だったのです。
『不思議の国のアリス』の挿絵を描いたのが、ジョン・テニエル。今、『不思議の国のアリス』から思い浮かべる印象は、ジョン・テニエルの絵に負うところ、少なくありません。はじめ、ルイス・キャロルは絵も自分描いていた。それから後になって、ジョン・テニエルの絵が『不思議の国のアリス』にぴったりだと、気づく。たぶん、『パンチ』の挿絵でジョン・テニエルのことを、知っていたのでしょうね。
ジョン・テニエルが『パンチ』に絵を描きはじめたのは、1850年のこと。それからざっと五十年の間、『パンチ』の挿絵画家だったのです。1901年に『パンチ』を、「卒業」。この五十年間に『パンチ』に描いた挿絵の数、2300枚とか。これとは別に、1860枚のカートゥーンも描いています。
『パンチ』が創刊されたのは、1841年7月17日のこと。A4版の大きさで、表紙を入れて14ページ。値段は、3ペンス。初版は、五千部。その五千部たちまち売れて。すぐに五千部を追加。つまり『パンチ』創刊号は、約一万部売れたわけですね。
『パンチ』が出てくる小説に、『クラドック夫人』があります。1902年に、モオムが発表した物語。
「エドワードは新聞売子から「パンチ」と「スケッチ」を買った。」
これはエドワード・クラドックの、駅での様子。また、こんな描写も。
「彼にとてもよく似合うフラノのズボンに穿きかえてから、二人は何セットも続けてテニスをした。」
「彼」も、エドワード・クラドックの姿。「テニス」とあるのですから、白いフラノのズボンなんでしょう。
さて、白いフラノのズボンで。二十一世紀のアリスを探しに行くとしましょうか。