ブランデーは美味しいものですね。
ブランデーの中でもよく知られているのが、コニャック。フランスのコニャック地方で造られるので、その名前があります。「コニャック」 cogac は1836年頃から遣われている言葉なんだとか。
では、その前はなんと呼ばれたのか。「オー・ド・ヴィー」 eau de vie 。オー・ド・ヴィーは「生命の水」で。スコットランドの「ウイスキー」のもともとも、「生命の水」だったらしい。別に相談したわけでもないんでしょうが。
ところが。コニャック地方でいつ、オー・ド・ヴィーがはじまったのか、よく分かっていないんだそうです。まあ、それくらいに古いんでしょうね。
服部伸六著『カイエ・ド・コニャック』の中に、こんな文章があります。
「フェキャンプ在の五十トンの船主が公証人に作らせたもので「ラ・ロッシェル港から、ワイン二十樽及びオ・ド・ヴィ大樽一五樽を積み英国はロンドンに運搬する」という契約書である。」
この契約書の日付は、1559年9月30日になっています。今から五百年ほど前のことでしょうか。
ということは十六世紀にはもうオー・ド・ヴィーがあった。いや、英国に輸出さえしたいたのでしょう。
ひとつの説として。1423年ころ。フランスのシャラント地方にやって来た、ジャン・バイカンというオランダ人が造ったという。白ワインから、オー・ド・ヴィーを。
オー・ド・ヴィーが出てくるミステリに、『地獄の季節』が。1989年に、ジャック・ヒギンズが発表した物語。
「コニャックの壜に手を伸ばし、少しグラスに注いだ。」
これはエリック・タルボットという若いイギリス人の仕草なんですね。また、こんな描写もあります。
「乗馬用ズボンによく磨かれた茶色のブーツ、茶色のドネガルのツイードのジャケットにそれとそろいの帽子……」
たぶん、ドニゴール・トゥイードの上着なんでしょう。なにかトゥイードの上着で、ブランデーを飲みに行くとしましょうか。