神父で、探偵で、といえばブラウン神父でしょうね。
古今東西、いろんな探偵が登場しています。エルキュール・ポアロもいれば、シャーロック・ホームズもいるというわけです。
そんな中で異色ともいえるのが、ブラウン神父。ごく平凡な神父が鮮やかな推理を展開する。そこに面白味があるのでしょう。
ブラウン神父を発明したのは、英国、ギルバート・キイス・チェスタトン。このチェスタトンをモデルにしたのが、ギデオン・フェル博士。もちろん、ジョン・ディクスン・カーが生んだ名探偵ですね。
チェスタトンはなにもミステリばかり書いていたわけではありません。上質の評論もずいぶん書いています。その一方で、「ブラウン神父」を書き続けたのです。チェスタトンが『ブラウン神父の童心』を書いたのが、1911年のこと。
1911年に、コナン・ドイルはなにをしていたのでか。自動車レースに出ていた。コナン・ドイルは、はやくから自動車の好きな人でもありました。そんなこともあって、1911年には、自動車レースに。ドイツを出発して、スコットランドへ。スコットランドからロンドンに帰ってくるというコースだったようです。この時は、英国チームの優勝。
コナン・ドイルはラウンジ・スーツを着て、その襟にカーネーション挿して、自動車のハンドルを握っています。
「ペイズリ織りのショールをかけた………」。
コナン・ドイル作『海軍条約文書事件』の一節。これも、物語の背景は十九世紀末におかれています。コナン・ドイル自身がペイズリーを身に着けたかどうかは定かではありません。が、ドイルがペイズリーを身近かに感じていたのは、事実でしょう。それというのも。スコットランドのペイズリーの町にはじまっているのですからね。