新婚旅行とメス・ジャケット

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

新婚旅行は、晴れやかなものですよね。「ハネームーン」とも言うんだそうですが。
新婚旅行がどうして、「ハネームーン」なのか。これを直訳して、「蜜月旅行」。
ハネームーンは、「ミード」 mead と関係があるんですってね。ミードとは、蜂蜜で造ったお酒のこと。
その昔、ミードを飲むと元気になると、考えられていた。それに蜜蜂は多産でもありますから、子宝に恵まれる、そんな思いもあったのでしょう。
このミードを飲むことから、やがて旅をともにする習慣が。それで、「ハネームーン」の言葉が生まれたものと思われます。
にhにとってのはじめての、ハネームーンは。坂本龍馬だった。
坂本龍馬は、慶應二年八月一日。お龍と結婚。慶應二年は、1866年のことです。龍馬とお龍はこの後ふたりで、薩摩へ。この薩摩への旅こそ、日本初の新婚旅行であったと。
話は変わりますが。三島由紀夫が遥子夫人と結婚したのが、1958年6月1日。もちろん、新婚旅行に。結婚式を終えてすぐに、箱根へ。
箱根で二泊した後、京都へ。きょうとへ。京都から、大阪へ。三島由紀夫はその頃、すでに有名人でもありましたから。

「町歩けば「ア、三島が新婚旅行にきてらア」とすぐにサインぜめ。」

三島由紀夫著『私の新婚旅行地』に、そのように書いています。行く所行く所で、サイン、サイン、またサイン。そんな新婚旅行だったようですね。
新婚旅行ではなく、取材でバンコクに行った時の話。三島由紀夫は昭和四十年に、バンコクに。この時、三島由紀夫はメス・ジャケットを仕立てています。三島由紀夫はこのメス・ジャケットについて。

「ボタンを使はずに、カッティングで前が合はさるか合はさぬかの具合に仕立てたのが、本当のメス・ジャケットであり、テーラーの腕前でもある。」

『無題』という随筆の一節です。
三島由紀夫の言葉の通り、メス・ジャケットを完璧に仕立てるのは、至難の技ですね。メス mess は昔の俗語で、「食事」の意味。盛夏の晩餐にぜひとも着たいものです。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone