プリマスとピー・ジャケット

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プリマスという地名がありますよね。もちろん、Plymouth と書きます。もともとは、「プリ・マウス」だったのでしょう。
英国の地名に、「………マス」は少なくありません。これは読んで字のごとく、「口」。つまり入江になった地形のことなのですね。
英国のプリマスは、デヴォン州にあります。1620年の清教徒革命は、あまりにも有名です。あの「メイフラワー号」は、このプリマスから船出しているのです。そして着いた所がまた、「プリマス」だったのですね。正しくは、「ニュー・プリマス」。英国のプリマスに似ているというので、その名前がつけられてわけです。こちらは、アメリカ、マサチューセッツ州にある、「プリマス」。新しい第一歩が刻まれた、記念すべき聖地でもあるでしょう。
ところで、本家のプリマスを旅した人物に、荒 正人がいます。1962年のことです。

「着陸したのは、プリマスの郊外の飛行場ではあったが、それは牧場を広くしたようなものであった。」

『赤毛のレドメイン家』の「解説」に、そのように書いています。『赤毛のレドメイン家』は、荒 正人の翻訳。1972年。講談社版の「世界推理小説体系」の一冊。この講談社版は、実に美しく、愉しい。
宇野亜喜良による挿絵が添えられているから。それはともかく1962年に、どうしてプリマスの飛行場に降りたのか。
フィルポッツの『赤毛のレドメイン家』を訳すにあたって、その場所、風景を確認しておきたかったから。フィルポッツ著『赤毛のレドメイン家』の中に。

「ベンディゴは、水夫の着る厚いラシャのジャケツに庇付きの帽子をかぶって…………」。

「水夫の着る厚いラシャの…………」。これはたぶん、ピー・ジャケットのことかと思われます。ここからの想像ですが。ぜひ一度、ピー・ジャケットを着て、プリマスを旅したいものではありませんか。

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