卵とタフタ

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卵は、身近かな食材ですよね。卵さえあれば、なんかひとつくらい料理が作れます。オムレツだとか、茶碗蒸しだとか。それから、卵かけごはんも、美味しいし。
卵には黄身と白身とがあって。さらに細かいことを言いますと。白身のなかには、「カラザ」があって。なんだか白糸がからまったような筋のことですね。白身を使う時には、あの「カラザ」はよけておいたほうがいいみたいです。たとえば、メレンゲを作る時などは。メレンゲは、白身に砂糖を加えて焼くと、わりあいと簡単にできてしまいます。そしてメレンゲもまた、あと引く食べ物ではありますが。
卵がお好きだったお方に、森 茉莉がいます。

「皿の上の卵の殻が、障子を閉めたほの明るい部屋のように透っているのを見るのは、朝の食卓の幸福である。」

森 茉莉著『記憶の繪』に、そのように書いています。森 茉莉が少女の頃に。朝の食卓にゆで卵が出てくると。お父さんが器用に、象牙の箸の端で、殻を剥いてくれたんだそうですね。森 茉莉のお父さんが、森 鷗外であるのは言うまでもないでしょう。森 茉莉の卵好きはまさに、「記憶の繪」でありましょう。
森 茉莉の書いた小説に、『恋人たちの森』があります。この中に。

「ぎざぎざの多い木目の入ったタフタのネクタイに着替えたギドウは………………」。

タフタ taffeta は、美しい、緻密な、絹織物。ネクタイの他にも、女性のイヴニング・ドレスの素材にもなります。
『恋人たちの森』での「タフタ」は、あるいはモアレを指しているのかも知れませんが。ホテルの朝食にも、タフタのタイはお似合いでしょうね。

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