マリアは、わりあい多い名前ですよね。たとえば、マリア・カラスだとか。マリア・カラスは、二十世紀最高のソプラノ歌手とまで謳われたお方ですね。
「マリア」もその源を辿っていけば、聖母マリアと関係しているのではでしょうか。聖母マリアはもちろんイエス・キリストの聖なる母であります。
「アベ・マリア」を讃える歌は数多くあります。いつ、どんな時であろうと、「アベ・マリア」の曲を耳にすると、敬虔な気持にさせられてしまいます。
日本の作家で、キリストを多く描いた作家に、遠藤周作がいます。『沈黙』もまた大作であり、代表作でありましょう。遠藤周作の『沈黙』を高く評価した英国人作家に、グリーンがいます。グレアム・グリーン。
グレアム・グリーンと遠藤とは、少なからず手紙でのやりとりがあったという。ところが。
1985年4月。遠藤周作は、ロンドン訪問。リッツ・ホテルに宿泊。
滞在中、近くに散歩に出て、ホテルに戻る。戻って、エレベーターに。遠藤周作がエレベーターに乗ると、後からひとりの英国人が乗ってきて、「何階ですか?」と、ボタンを押してくれる。遠藤周作は3階で、その紳士は5階。
遠藤周作はエレベーターを降りて、部屋に。しかしエレベーターに乗り合わせた英国人紳士、どうもグレアム・グリーンであったように思えてならない。
受付に電話してみるとたしかに、グレアム・グリーンが泊まっている。すぐに電話をグレアム・グリーンにつないでもらって、バアで一杯傾けたそうです。これもまた、マリア様のお導きだったのでしょうか。
グレアム・グリーンの小説に、『権力と栄光』があって。この中に。
「彼は、レイア氏の服をぬいで、レイア氏の防水外套に着がえ……………」。
ここでの「防水外套」は、「マッキントッシュ」のことです。日本での「マック」はマクドナルドの意味になるかも知れません。でも、イギリスで「マック」といえば、マッキントッシュのことにもなります。
スコットランドの化学者、チャールズ・マッキントッシュが偶然に、発明したので、その名前があります。
チャールズ・マッキントッシュのお母さんの名前は、「メアリー」だったのですが。でも、チャールズ自身にとってはマリアそのものであったでしょうね。