ピッツバーグとピン

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ピッツバーグは、アメリカのペンシルヴァニア州の都市ですよね。ピッツバーグに旅した人に、草森紳一がいます。その草森紳一に言わせますと。アメリカではピッツバーグほど美人が多い街はない、と。

「そこは美人の洪水だったのである。」

草森紳一著『旅嫌い』に、そのように書いています。たぶん1980年頃のことかと思われます。
余談ではありますが。草森紳一は、慶應を卒業して、当時の「婦人画報」に入っています。そこではいぞくされたのが、『男の服飾』編集部。草森紳一は、『メンズクラブ』の誌名を提案されて採用されたという。
それはともかく、草森紳一はピッツバーグで何をしたのか。珈琲を飲んだ。ピッツバーグ式珈琲を。ピッツバーグにはピッツバーグ式珈琲があって。美人が珈琲碗に注いでくれる。それがまあ美事に、カップすれすれ。表面張力の原理の達人みたいに。
ピッツバーグもまたいわゆるアメリカン・コーヒーなのだけれど、必ずカップすれすれに注ぐ。これは「物惜しみしない精神」なのだろうと、草森紳一は書いています。日本での珈琲は、「腹八分目精神」が多いようですか。
一時期、ピッツバーグ大学で教壇に立っていた作家に、バーバラ・ポールがいます。つまり大学の先生から小説家になった人物なのです。バーバラ・ポールのミステリに、『慈善的なことだよ、ワトスン君』があります。原題は、『エリモシナリ、マイ・ディア・ワトスン』。これはもちろんホームズの口癖、「エレメンタリー、マイ・ディア・ワトスン」のもじり。つまり、ホームズ物のパロディになっているのですね。この中に。

「これは真珠のネクタイピンを配達している最中でした。」

という科白が出てきます。「これ」とは息子の、ウィルフレッド・ロンバード。ある宝飾店が襲われて、それをホームズが解決する事件。
パールのネクタイ・ピンは昼間にふさわしいものです。サファイアやエメラルドなら、夜の服装に合わせる。
まあ、それはともかく。もう一度、ネクタイ・ピンが流行になってもらいたいものです。
『メンズクラブ』あたりに提案していただきたいものですが。

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