モースとモアレ

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モース M ors e は、人の名前でもありますね。ミステリのほうでは、「モース主任警部」がいます。コリン・デクスターの物語に登場する、探偵役ですね。
日本人と直接に出会ったモースとしては、エドワード・シルベスター・モースでしょうか。
モースが日本にやって来たのは、明治十年のこと。もちろん横濱に着いています。6月17日の夜に。モースはもともとアメリカの動物学者ですから、日本の遺跡にも興味があって。遺跡発掘の許可を、日本から貰おうと。で、横濱から列車に乗って、新橋まで。モースがのんびり車窓を眺めていて、大森あたりで、断層を発見。これが後の「大森貝塚」なんですね。
エドワード・モースには『日本 その日 その日』の著書があって。明治十年代の日本の様子が美事に描かれています。

「私に向って嘲笑したり、声をかけたりした者が、只の一人もなかったという事実である。」

モースはある時、明治の軍人の行進に出会う。それがまことに礼儀正しくあった、と。明治十年頃の日本に異人は珍しく、奇異の目で見られることが少なくなかったのですが。
モースが出てくるミステリに、『ギリシア棺の謎』があります。1932年に、エラリー・クイーンが発表した物語。

「スザン・モース夫人という女で、内庭を囲んでいる六軒の家の一つに住んでいる。隣人というわけだ………………」。

美術商 ゲオルグ・ハルキスの隣の住民という設定。また、『ギリシア棺の謎』には、こんな描写も。

「みんな同じな、赤の波形模様入りネクタイが六本はいっていた。」

これも、ゲオルグ・ハルキスの持ち物。
「波形模様入り」。これはたぶん、モアレのことでしょうね。私の大好きな織柄。ネクタイだけでなく、女性のドレスなどにも使われる優雅な生地のことです。
時にはモアレのタイを結んで。大森散歩と参りましょうか。

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