クイズが解けると、うれしいものですよね。もっとも私の場合、ほとんど解けたためしがないのですが。
クイズ q u iz は、1780年頃の、アイルランド、ダブリンで生まれたとの説があります。その頃、ダブリンに、デリイ D a ly という劇場支配人がいて、賭けを。
「二十四時間以内に、何の意味もない新語を流行らせることが出来るか、どうか?」
そこで、デリイは至るところに、「q u iz」の文字を書きつけた。で、「クイズ」とは何かと、話題に。デリイは賭けに勝ったのであります。
クイズといってよいのかどうか、暗号。暗号はよく推理小説にも出てきますよね。
エドガー・アラン・ポオが、1843年に発表した小説に、『黄金虫』が。この『黄金虫』に、暗号が出てきます。というよりも、暗号を駆使した小説としては、かなり初期のものといえるでしょう。『黄金虫』は、それ以降のミステリにも多くの影響を与えています。
「ところで、英語でいちばんよく出てくる字は e だ。それからあとは a o idhnrst uycfglmwbkpqxz という順になる。」
つまりアルファベットの頻度から推理して、複雑な暗号文を美事に解く場面が含まれているのです。
『黄金虫』は、傑作。それというのも、『ダラー・ニューズペイパー』という懸賞小説に応募した物語。ポオはこの『黄金虫』で一等となり、賞金100ドルを得ています。1843年の100ドルは、今のどのくらいの価値なんでしょうか。
それよりも前。1840年に、ポオが書いた短篇に、『群衆の人』があります。これはその時代の倫敦を背景にした物語なのです。この中に。
「ビロードのチョッキ、派手なネッカチーフ、金メッキの鎖、金線細工のボタンといういでたちの………………………」。
これは道行く人びとの様子を眺めている場面。
「金線細工」は、たぶんクロワゾンネ cl o is onné のことかと思われます。クロワゾンネは、七宝の一種。金線で縁取りした中に、エナメルを流しこんで仕上げる手法のこと。
1840年頃の倫敦には、クロワゾンネの、凝ったボタンがあったんでしょうね。
でも、「クロワゾンネ」だけでは、クイズにもならないでしょうが。