砂糖とサンフォライズ

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砂糖は、シュガーのことですよね。なにかにほんの少し砂糖を加えると、味が一変することがあります。
珈琲を飲む時にも砂糖を添えることがあります。珈琲が運ばれてくると、まずなにも加えないで、飲む。それからほんの少し砂糖を。さらに三口以降は、ミルクをも加えて、飲む。これで三段階の珈琲の味が愉しめるわけですね。
珈琲がお好きだったのが、寺田寅彦。なにしろ『コーヒー哲学序説』の著書があるくらいですから。寺田寅彦は昭和十年十二月三十一日に、五十七歳で世を去っています。ということは『コーヒー哲学序説』は大正末期、または昭和のはじめにお書きになったものでしょうか。

「コーヒーの効果は官能を鋭敏にし洞察と認識を透明にする点でいくらか哲学に似ているとも考えられる。」

寺田寅彦は『コーヒー哲学序説』の中に、そのように書いています。
寺田寅彦の有名な言葉に。

好きなもの
苺 珈琲 花 美人
ふところ手して宇宙見物

というのがありました。ありましたというより、寺田寅彦はこの文字を色紙に書いて、部屋に掛けておいたという。
寺田寅彦については、辰野 隆が名随筆を書いています。

「およそ、おむすびの中で、故寺田寅彦博士、一名吉村冬彦居士の最も愛好したおむすびは何といっても天下一品だらう。」

1956年『暮しの手帖』第三十六号に、『ドンと弾丸』と題する随筆に、そのように書いています。
では寺田寅彦が好んだ「天下一品」のおむすびとは。まず中に入っているのが、黒砂糖の塊。黒砂糖を入れて、おにぎりを。にぎったなら、白砂糖をまぶす。さらに、きな粉をまぶして、完成。
おむすびというよりは、なんだかお菓子のようでもありますが。まあ、そのくらい寺田寅彦は甘党だったのでしょう。
『暮しの手帖』第三十六号に、「ちぢまない」セーター の記事が出ています。この記事の中に、花森安治はこんなことを書いています。

「木綿にはサンフォライズという防縮加工があります。毛糸にも、そんなことができたら、とついおもってしまいます。」

サンフォライズは、1928年に開発されたもの。1930年には「サンフォライズ」の商標登録がなされています。
1928年に、サンフォード・ロックウッド・クルエットが完成させたので、その名前がつけられたのです。当時、「クルエット・ピーボディ」は、シャツ・メイカーだったので、防縮は大きな課題だったのです。つまり、最初は縮むことのないシャツが命題でありました。
なにか好みのシャツだ、適度に甘さケエキを食べるとしましょうか。

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