金箔とキュロット

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

金箔は、金の箔のことですよね。
箔は、金属の紙と言ったら分かりやすいでしょうか。金属を叩いて叩いて、紙のようにと申しますか、紙より薄くと申しますか、伸ばす技術のことであります。
「箔がつく」なんていうではありませんか。
つまりなにかの上に金箔を重ねますと、まるで全体が黄金であるかのようにも思えてくるわけですね。

「鼠色の羽根と羽根との間が金箔で強く光る。」

夏目漱石が、明治四十一年に発表した『三四郎』にも、「金箔」が出てきます。
これは、「里見美彌子」の、玄関の様子。戦国時代の鎧などが飾ってあって。
大きな甕があって、そこに弓矢が挿してある。その矢に金箔が。戦国時代の武将は豪奢だったのでしょうね。
もちろん金箔は日本だけのものではありません。

狭い廊下の純白のニス
低い天井 サロンの金箔

ヴァレリー・ラルボーの『A、O、バルナブース全集』に、そのような詩があります。
ヴァレリー・ラルボーは、詩人であり作家であり、旅を愛した人物でありました。ラルボーは、1881年8月29日。フランスのヴィシーに生まれています。お父さんのニコラは、
ヴィシーの鉱泉会社の経営者でありました。裕福な環境で、自由に育っています。
ヴァレリ・ラルボーの短篇小説に、『哀れなシャツ屋』があるのですが。
この中に。

「これはオックスフォール織りでございます。こちらは麻と絹交ぜ織りになっておりまして……………。」

客がやって来てので、応対している場面。場所はフランスの巴里ですから、「オックスフォール織り」になるのでしょうね。
それにしても1900年頃には、「麻と絹との」交織地があったものと思われます。
ところがある日、富豪の客があらわれて。シャツを一度に、「12ダース」註文してくれて。昔の紳士はシャツを必ずダースで誂えたものですが。それにしても、「12ダース」とは嬉しいではありませんか。
ヴァレリ・ラルボーは小説以外のも、『日記』も書いているのですが。

「締金のついた黒靴、白い靴下、黄金色の繻子の半ズボン、空色ないしはバラ色の短い上着。」

これはコペンハーゲンで見た、祭の衣裳として。
ここでの「半ズボン」は、フランスなら「キュロット」でしょうか。
フランスでの「キュロット」culotte には「半ズボン」の意味もあります。
どなたか黄金色のサテンの半ズボンを仕立てて頂けませんでしょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone