ポリーとポークパイ

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ポリーは、女人の名前にもありますよね。
ふつう、P oll y と書いて、「ポリー」と訓むんだそうですが。
「ポリドール」というレコード会社があります。これもP o Ily となにか関係あっての名前なんでしょうか。
昔、チック・コリアのレコードを買ったら、「ポリドール・レコード」だった記憶があります。

ポリーが出てくるミステリに、『猟犬クラブ』があります。英国の作家、ピーター・ラヴゼイが、1996年に発表した長篇。
物語の背景は、イギリスの温泉地、「バース」に置かれています。このバースにあるミステリ愛好家クラブの名前が、「猟犬クラブ」なんですね。
そして、「猟犬クラブ」の会長が、ポリー・ウィチャリーという設定になっています。

「たしかにポリーのいうとおりだった。ミルサム・ストリートとブロード・ストリートのあいだに隠されたこの小さな陽だまりは、パリカルチェラタンから抜けだしてような場所だった。」

ピーター・ラヴゼイ著『猟犬クラブ』には、そんな文章が出てきます。
これは同じく「猟犬クラブ」の会員、シャリー=アン・ミラーの感想として。
ある日の朝、ポリーからシャリーに電話があって。シャイアーズ・ヤードにあるカフェ「ル・パリジャン」で、お会いしましょう。
それで行ってみると、その一画はまるでパリのようだった、と。「ル・パリジャン」の隣には「カフェ・ルネ」もあって。それぞれフランス人のウエイターが立ち働いているカフェになっているのですから。
著者のピーター・ラヴゼイは、さりげなくバースの観光案内までしてくれているわけですね。今度、イギリスのバースに行く機会があったら、ぜひ「ル・パリジャン」でカフェ・オ・レを飲んでみたいものです。

バースのミステリ愛好家クラブ「猟犬クラブ」の会員には、それぞれ得意分野があるらしくて。会長のポリーはどうもフランス物のミステリの玄人裸足みたいです。たとえば、ジョルジュ・シムノンだとか。ジョルジュ・シムノンのミステリは、隅から隅まで読み込んでいて、細部に至るまで記憶しているとか。

「………あの優雅なユーイン・ソロン。メグレの部下のリュカをやっていたのよ。ポークパイ・ハットをかぶったすてきな男性。おしゃれでね。」

もちろんポリーの科白として。これは「メグレ物」がTVドラマ化された時の話を、シャーリーに対してしている場面。さすがにお詳しいですね。脱帽。
ポークパイ・ハットは、クラウン頂上が平たく凹んだ型の帽子のこと。たしかに1930年代の、刑事にも似合いそうな雰囲気があります。言うまでもなく、形がポークパイに似ているので。
ポークパイ・ハットはもともと1860年代の、イギリスの夫人帽がはじまりとのことです。
どなたか現代版のポークパイを仕上げて頂けませんでしょうか。

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