赤毛は、髪の赤い人のことですよね。もちろん人以外でも、犬や猫も毛が赤い時には「赤毛」と呼ぶことがあります。
物語で「赤毛」となれば、『赤毛のアン』でしょうか。『赤毛のアン』は、1908年の発表。ルーシー・モード・モンゴメリによって。
ルーシー・モード・モンゴメリは、1874年11月30日のお生まれですから、ルーシーが二十四歳の時であったことになるでしょうか。
『赤毛のアン』の舞台は、「アヴォンリー」。カナダ、プリンス・エドワード島の村ということになっています。でも、アヴォンリーは架空の名前。実際には「キャヴェンデッシュ」だったと考えられています。
モンゴメリ作の『赤毛のアン』は興味尽きない物語です。時代背景は、十九世紀末。およそ1890年代でしょうか。『赤毛のアン』を読んでいますと、物語の端々にその時代の暮しの様子が垣間見えてくるからです。
「あるのは、骨つきのコールドハムだけなのよ、ダイアナ!」
これは保存食としてのハムなのでしょう。おそらく自分たちの自家用として作り、それを大切に食べたに違いありません。
では、着るものはどうだったのか。その時代のカナダには、巡回のドレスメイカーもあったらしい。村々を回って、洋服の注文を取って歩くのです。
もちろん町にはテイラーなどもありました。
マリラがすてきな紺のウールの生地を買ってくれて、カーモディーの本職の仕立て屋さんで仕立ててもらっているの。」
当時、モンゴメリが住んでいたキャヴェンデッシュには腕の立つ職人がいたんだそうです。たぶん、その人がモデルになっているものと思われます。
赤毛から、もうひとつ思い浮かべることがあります。『赤毛組合』。『赤毛組合』は、1891年に、コナン・ドイルが発表した物語。原題は、『ザ・レッド・ヘッデッド・リーグ』。
1891年『ストランド・マガジン』8月号に、絵入りで掲載されています。挿絵を描いたのは、シドニー・パジェット。
コナン・ドイル自身も、『赤毛組合』には満足していたらしい。また、一般のミステリ愛好家の中でも評価の高い小説になっています。この『赤毛組合』の中に。
「………黒いフロック・コートを着て、前のボタンをはずしており、くすんだ茶色のチョッキから垂れた真鍮製アルバート型の時計鎖の先には、四角い穴の開いた小さな金属が飾りとしてつけられていた。」
これは、ジェイベズ・ウイルソンという人物の着こなしとして。「アルバート・ウォッチ・チェイン」のことかと思われます。
その昔、ヴィクトリア女王の夫君だったアルバート公が1850年頃に考案した鎖なので、その名前があります。要するに、「バア」のついた時計鎖。この「バア」がストッパーになって、鎖が外れない工夫のものです。
古典的なウエイストコオトに、専用の穴が空いていたのは、アルバート・チェインの「バア」のためだったのですね。
どなたかアルバート・チェインが似合いそうな、チョッキを仕立てて頂けませんでしょうか。