マレンゴとマント

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マレンゴは、地名ですよね。イタリア、ピエモンテ州、アレッサンドリアに、マレンゴはあります。
ナポレオン時代の古戦場。
おしゃれで、アレッサンドリアとなりますと、「ボルサリーノ」。帽子で有名なボルサリーノの本社工場は、アレッサンドリアにあるのです。

マレンゴはまた、料理名でも。「マレンゴ」は、鶏肉料理。鶏肉をオリイヴ・オイルで炒めトマトなどを添えて仕上げた一皿。
1800年6月14日の夜に、ナポレオン・ボナパルトが食べた料理だったという。この日、ナポレオンはマレンゴにて、戦勝。料理人は急いで、鶏肉、トマト、ニンニクなどを揃え、急遽仕上げたのが、後に「マレンゴ」と呼ばれるようになったんだそうですね。
ナポレオン・ボナパルトは当時のフランス人としては、潔癖症だったらしい。

「………熱い風呂、オーデコロン、シャンベルタン、一日に二度取り替える洗い立ての下着だけである。」

エミール・ルートヴィヒ著『ナポレオン』には、そのように出ています。日々のナポレオンに欠かせないものとして。

マレンゴが出てくる小説に、『アカシア』があります。フランスの作家、クロード・シモンが、1989年に、発表した創作。

「………マレンゴとかマラコフとかバゼイユとかラン・ソンといった地名を構成する響きのいい音は、勝ち戦であれ負け戦であれ………」

関係ないと、思っているわけです。むろん、これらはいずれも古戦場なのですが。
『アカシア』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。

「………プレッシングから出てきたばかりみたいなマントの袖にもきらきら光る金色の五本のモールがつき………」。

これは1940年のフランス軍人の服装として。
戦前までの日本でも、マントは大切な外套のひとつだったのです。

「………獺の襟の着いた暖かさうな外套を着て、突然坂井が宗助の所へ遣って来た。」

1910年に、夏目漱石が発表した小説、『門』に、そのような一節があります。
漱石は「外套」と書いて、「マント」のルビを添えています。その頃、マントが珍しくなかったことが、想像できるでしょう。
どなたか現代向きのマントを仕立てて頂けませんでしょうか。

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