ピンクとピケ

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ピンクは、桃色のことですよね。pi nk と書いて、「ピンク」と訓みます。
ピンクには、「撫子」の意味もあるんだそうですね。それからまた、肌の色にもピンクがあります。血色の良いしるしなのでしょう。
健康な英国紳士の肌色は、ピンク。なぜか、そんな印象もあります。
あるいはまた、「サーモン・ピンク」だとか。サーモンのサンドイッチも旨いものです。もちろんパンの間にスモークト・サーモンを挟んだサンドイッチ。あのスモークト・サーモンも色の濃いほうが、美味しいような感じがあります。

「………衣服にはくっきりしたピンク色のぽっちりくっ附いていてそれが甚だエフェクテェブであった。」

1919年に、佐藤春夫が発表した『美しい町』に、そんな一節が出てきます。日本語でピンクが用いられた比較的はやい小説なのかも知れませんね。

「………ピンクかグリーンの派手な色の褪めかかつた奴で………」

1923年に、谷崎潤一郎が書いた短篇『アヴェ・マリア』に、そのような文章が出てきます。これははるか遠くの女の子が遊んでいる様子として。

ピンクが出てくるミステリに、『ペントハウスの謎』があります。1941年に、エラリイ・クイーンが発表した物語。

「………丈の高い植民地時代の書きもの机の上には、ピンクの金魚草をさした花びん。」

これはエラリイ・クイーンの事務所の描写として。
また、『ペントハウスの謎』には、こんな文章も出てきます。

「白ピケ織のチョッキ、ハンカチ、靴下、アンダーシャツ。たしかにミスター・コップは長逗留のつもりだったのだ。」

これは「ホリンズワース」のペントハウスに宿泊中の、コップ氏の服装を、エラリー・クイーンが眺めている場面。コップ氏がいなくなったので。
「白ピケ織のチョッキ」は、燕尾服にふさわしいものです。いや、白ピケのドレス・ウエイストコートなしに、燕尾服を着ることはできません。もちろん、「ホワイト・タイ」に合わせるためにも。
ピケは、一種の二重織。夏のスーツなどが仕立てられることもあります。
どなたか白ピケのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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