ライカは、ドイツの写真機のことですよね。ドイツのライツという会社が作っているカメラなので、「ライカ」の名前があります。
少しでも写真に興味ある人は、ライカがいかに優れたカメラであるかを知っているでしょう。少しでも良い写真を撮りたいと思っている写真家は、ライカを使っているでしょう。
今のライカの原型を完成させたのは、ドイツ人の、オスカー・バルナック。1879年にドイツで生まれています。
バルナックが、「ライツ社」にやって来たのは、1911年のこと。その時代の「ライツ社」は主に、顕微鏡の会社だったのです。
バルナックはそれまでは、レンズ会社の「ツアイス」で働いていたのですが。
でも、「ライツ社」の総務は、バルナックの入社に良い顔をしませんでした。なぜなら、バルナックはゼンソク持ちだったから。
でも、エルンスト・ライツ一世は、バルナックを大いに歓迎して。特に陽当たりの良い一軒を用意して住まわせたという。
バルナック自身もまた、素人写真家で、その頃の写真機を持ち歩くのが、難儀だった。ただでさえゼンソク持ちなんですから。
小型で、楽に持ち歩ける写真機は、バルナックにとっても夢だったでしょう。
バルナックは日々、顕微鏡を作る合間に小型カメラの開発を進めたのです。
バルナックが好きだった格言に、「本質に徹せよ」というのがありました。これはバルナックの趣味であるチェスを指す時の口癖でもあったのです。
「本質に徹せよ」。これはライカ誕生とも無関係ではなかったでしょう。
ライカが出てくるミステリに、『ブーベ氏の埋葬』があります。1950年に、フランスの作家、ジョルジュ・シムノンが発表した物語。
「………アメリカ人の学生がライカのファインダー越しにパリを眺めている。」
シムノンの『ブーベ氏の埋葬』には、こんな描写も出てきます。
「ところが、ルーベ市でも、トゥルコアン市でも、リール市でも………」
ここでの「リール市」は、北フランスの街の名前。Lilleと書いて、「リール」と訓みます。
このLille を英語訓みにいたしますと、「ライル」。おしゃれ語としての「ライル」には、「高級綿糸」の意味があります。
その昔、フランスのライルで、上質綿糸が作られていたからです。よく極上の綿の靴下などが編まれたという。
どなたかライルの靴下を再現して頂けませんでしょうか。