パッチワークとバズビイ

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パッチワークは、貼りあわせ布のことですよね。パッチワークのクッションなんかもあったりします。いかにも手仕事が活きている感じで、微笑ましいものです。
パッチワークはもともと布を大切にすることからはじまっているのでしょう。世界のいろんな国に、いろんなパッチワークがあります。
布で服を仕立てると、どうしても余り布ができてしまいます。この余り布を捨てないで、貯めておく。「貯布」でしょうか。
貯布がたくさん集まったところで、色柄の配分を考えて。布の大きさなんかも考えて、つなぎ合わせてゆく。すると、大きな一枚の布になったりするわけです。しかも世界でたったひとつの文様にもなるのであります。
ベッドの覆いにパッチワークを使っている人もいるのではないでしょうか。
そしてまた、パッチワークの言葉はいろんな使い方がされるものでもあります。
たとえば、2008年に、犬養道子が発表した随筆集に、『歴史随想 パッチワーク』があるのは、ご存じ通り。

「大先生ヘロドトス時代、ギリシアは商いを尊びこそすれ、士農工商などという日本的・儒教的な身分差はなかったのである。」

犬養道子は『歴史随想 パッチワーク』の中に、そのように書いています。
「歴史の父」と尊ばれるヘロドトスについて。ヘロドトスは研究調査のために各地に足を運んでいます。そのための旅費などはどうしたのか。
その疑問を解くために、ヘロドトスは旅中に商いをしたのではないかと、推論しているわけですね。
これもまた、「歴史」に向かうためのひとつの姿勢なのでしょう。
それというのも犬養道子もまた、調査研究のためには労を惜しまなかったお方でしたから。

パッチワークが出てくる小説に、『ウェールーズの子供のクリスマス』があります。1955年に、ディラン・トーマスが発表した短篇。

「パッチワークのポットカバーみたいな目まですっぽり覆うタモシャンター帽………」

ああ、たしかにポットの保温カヴァーに、パッチワークのものがありますよね。あれは正しくは「ティー・コジー」 tea cozy と言うんだそうですが。
ディラン・トーマスの『ウェールーズの子供のクリスマス』には、こんな文章も出てきます。

「ウサギの皮を着たバズビー帽………」

これは親と子の会話の中で。クリスマスの贈り物についてあれこれ相談している場面。
「バズビー帽」は、バズビイ busby のことなんでしょう。ロンドンの衛兵がかぶっている黒の、背の高い毛皮帽子。一説に、熊の毛皮だったとか。
どなたかバズビイに似た街用の帽子を作って頂けませんでしょうか。

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