スープとスーリエ

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スープは、ソップのことですよね。昔はスープのことを「ソップ」と言ったんだそうです。
スープsoup  は「ソップ」とも訓めなくもありませんから。
「スープ・アンド・フィッシュ」は、おしゃれ語でもあります。まずはじめにスープが出て、魚の料理も出されるような正式の晩餐会に着る服のことを、「スープ・アンド・フィッシュ」。つまりは燕尾服のことなのですが。
スープは昭和語、ソップは明治語。そうも言えるでしょうか。でも、例外はありまして。今も相撲の世界では、「ソップ」。たくさんの鶏ガラで作ったスープのこと。いわゆるちゃんこ鍋の美味しい秘密もソップにあるのでしょう。

「三四郎は肉汁を吸ひながら、丸で兵児帯の結目の様だと考へた。」

明治四十ニ年に、夏目漱石が発表した小説『三四郎』に、そのような一節が出てきます。これはある宴会の席でのこと。夏目漱石は「肉汁」と書いて、「そつぷ」のルビを添えています。
ところで、何が「兵児帯の結目」なのか。

「折襟に、幅の広い黒繻子を結んだ先がぱつと開いて胸一杯になつてゐる。」

これは客のひとりの服装として。たぶん、ボヘミアン・タイなのでしょう。

スープが出てくる小説に、『ブヴァールとペキュシェ』があります。フランスの作家、フロベエルの書いた長篇。1881年の刊行。フロベエルは1880年に世を去っていますから、未完の長篇です。

「玉葱のスープと、雛鶏と、ベーコンと、ゆで卵が用意されてあった。」

これは急な旅の途中での食事として。
また、『ブヴァールとペキュシェ』には、こんな描写も出てきます。

「………裾の方は、海狸の短靴の上でふくれ皺をつくっていた。」

これは、ブヴァールの服装の一部として。
1870年代のフランスには、ビーヴァーのスーリエがあったのでしょうか。
「スーリエ」souliers は短靴のこと。
どなたかビーヴァーのスーリエを作って頂けませんでしょうか。

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