モデルとモアレ

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モデルは、マネキンのことですよね。昔はモデルのことをマネキンと言ったんだそうです。
もちろんフランスの「マヌカン」manne
qinから来ているのですが。このマヌカンが日本に輸入される時。「招ぬかん」では、縁起が悪い。それで「マネキン」になったんだそうですね。
マネキンが出てくる小説に、『故旧忘れ得べき』があります。高見 順が、昭和十年に発表した物語。

「………マネキンといへばモダン・ガールの中の最尖端の女性が想像される………」

そんな一節があります。
『故旧忘れ得べき』には、マネキンのことが詳しく語られるのです。

「マネキンがまだ珍しいものとされてゐた時分、マネキン倶楽部は日本にひとつしか無かったが………」

おそらく、昭和のはじめ頃のことなのでしょう。
『故旧忘れ得べき』には、当時の居酒屋の値段も出てきます。

「上酒、小、十五銭。大、三十銭。焼のり、五銭。おしたし、五銭。湯豆腐、十銭………」

これは「ひさご」という店での献立として。

モデルが出てくる小説に、『知られざる傑作』があります。フランスの作家、オノレ・ド・バルザックが、1832年に発表した物語。

「そのモデルは、ある崇高なまぼろしのなかで、光かがやいて彼の目のまえに現れたのだ。」

ここでの「彼」は、画家の「ポルビュス」という設定になっています。「モデル」とは絵のモデルなんですね。

1831年にバルザックが書いた短篇に、『恐怖時代の一挿話』があります。この中に。

「その古めかしい形は、波紋織のきらびやかなミサ台前飾りの掛け布にかくれていた。」

「波紋織」。たぶん、「モアレ」moiré のことかと思われます。「木目模様」とも。美しい絹織物。ネクタイにも用いられます。
どなたかモアレの上着を仕立てて頂けませんでしょうか。

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