貸本屋とカウボーイ・ブーツ

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貸本屋は、本を貸してくれるところですよね。私が子供の頃には貸本屋がありました。江戸時代にも貸本屋はあったそうですから、その歴史も古いものがあるのでしょう。
有名な貸本屋としては、「鎌倉文庫」があります。昭和二十年、鎌倉に開店したので、「鎌倉文庫」。鎌倉に住む文士たちが力を合わせて開いたので、「鎌倉文庫」。
昭和二十年は、戦争末期のこと。皆が皆、疎開を考えていた時代です。でも、鎌倉文士のなかには、疎開をしないで鎌倉に踏み留まる。そんな考えの人たちがあったのです。
その鎌倉残留組の文士が考えたのが、「鎌倉文庫」でありました。
昭和二十年五月一日の開店。場所は八幡通りの「鈴木玩具店」跡。跡というのは、すでに店仕舞いしていたから。家賃は月に九十円だったという。
この「鎌倉文庫」の話が、「朝日新聞」の四月二十八日に、記事が出た。開店前に来る客が後を絶たなかったそうですね。活字に飢えている時代でしたから。
そもそもの発端は、小林秀雄だったそうです。小林秀雄が、高見 順に相談して。高見 順が川端康成に相談して。

「鎌倉文庫は戦争中の五月に開設した。私共が店番をし、手車やリユツク・サツクで本を運搬するのを見て………」

川端康成は、昭和二十年に発表した随筆『貸本屋』に、そのように書いています。
鎌倉文庫の料金は、3円から、20円までの間だったらしい。
結論だけを申しますと、鎌倉文庫は大成功だったのです。後に「鎌倉文庫」として出版まではじめることになったのですから。

貸本屋が出てくる小説に、『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男があります。1960年代に、ウィリアム・ブリテンが発表した物語。

「………十二歳のときに近所の貸本屋でジョン・ディクスン・カーの『テニスコートの謎』をなにげなく手にとったときに、エドガー・ゴールドの人生に初めて目的ともいうべきものが生まれ………」

また、『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』には、こんな描写も出てきます。

「ズボンのすそは真っ赤な特大のカウボーイブーツのなかにたくしこまれている。」

これは「スコフィールド」という男の履いている靴について。
どなたか真っ赤なカウボーイ・ブーツを作って頂けませんでしょうか。

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