ハンカチとバーミューダ・ショーツ

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ハンカチは、ハンカチーフのことですよね。洒落者は上着の胸ポケットに、ハンカチーフを挿すことになっています。
ハンカチーフは明治の頃には、「手巾」と言ったんだそうですね。手巾と書いて、「しゅきん」と訓んだんだとか。
それにしてもハンカチなのか、ハンケチなのか。いつも迷ってしまいます。
明治二十四年の『言海』には、「ハンケチ」として出ています。ハンカチの言葉は出ていません。ということは、ハンカチよりも「ハンケチ」の方が古い言い方なのでしょうか。

「………襦袢がシヤツになれば唐人髷も束髪に化けハンケチで咽喉を緊め………」

二葉亭四迷が、明治十八年に発表した『浮雲』に、そのような文章が出てきます。この時代には「ハンケチ」が多く用いられていたのでしょうか。
『浮雲』の中に、手内職の話が出てくるのですが。シャツを手で縫って、「一枚三厘」と出ています。今なら三百円位なのでしょうか。

「いひさしてお力は溢れ出る涙の止め難ければ紅ひの手巾かほに押當て其端を喰ひしめつゝ………」

樋口一葉が、明治二十八年に発表した『にごりえ』に、そのような一節が出てきます。
樋口一葉は、「手巾」と書いて、「はんけち」のルビを添えています。
樋口一葉は、明治五年の生まれ。明治二十八年とは、一葉が二十三歳の時のこと。あらためて『にごりえ』を読んでみますと、ほとんど言葉が出てきません。

ハンカチが出てくる短篇に、『青髯公の城』があります。1943年に、中井英夫が発表した物語。

「ハンカチを持っていらっしゃらないの」

これは「麻子」という女性が、「滋人」に対しての言葉として。滋人は、顔に汗をかいているので。
では、滋人はどんな恰好なのか。

「………滋人は膝までのバミューダにバスケットシューズを穿き、濃いグリーンのセーターを肘までたくしあげた恰好で………」

「バミューダ・ショーツ」bermuda shorts は半ズボンの一種。
バミューダ諸島で生まれたので、その名前があります。バミューダ諸島に避暑に来た英国人が考えたものです。
夏用のトラウザーズを膝上で切り落として。つまり、より細く、より長いシルエットが、バミューダ・ショーツの命なのです。
どなたか本格的なバミューダ・ショーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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