シープとショール

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シープは、羊のことですよね。羊があるからこそ、ウールが得られるわけであります。
sheep と書いて「シープ」と訓むのです。シープ・ドッグは、「牧羊犬」のこと。羊の群の番をする犬のことだったのですね。
シープ・スキンは、羊の一枚革。これは暖かい外套になってくれます。
英語の表現に、「仔羊に扮した羊」というのがあるんだそうです。
「シープ・ドレスド・アップ・アズ・ラム」。
ラムなのにシープのふりをする。そんな意味なんだそうですね。日本語の「若づくり」に似ているのでしょうか。

シープが出てくる名作に、『三四郎』があります。明治四十一年に、夏目漱石が発表した小説。

「三四郎は何とも答へなかつた。たゞ口の内で迷羊、迷羊と繰り返した。」

これが長篇『三四郎』の最後の一行なのです。
夏目漱石は、「迷羊」と書いて、「ストレイシープ」のルビをふっています。
『三四郎』はごく簡単に言って、恋愛小説。三四郎と美彌子との。三四郎は心の中で、美彌子のことを「ストレイシープ」だと考えているわけですね。『三四郎』の中には、何度も「ストレイシープ」と出てきます。
『三四郎』はまた、明治の風俗史の一面の記録にもなっているのですが。

「先生は黒い廻套を着て出た。懐手らしいが分からない。空が引く垂れてゐる。」

これは「広田先生」の散歩に行く着こなし。
漱石は、「廻套」と書いて「まわし」のルビを添えています。もちろん、二重廻しのことなのですが。おそらく、そのような言い方もあったのでしょう。

シープが出てくる短篇に、『異父兄弟』があります。1859年に、英国の作家、ギャスケルが書いた物語。

「グレゴリーの方は、老齢でほとんど仕事ができなくなっていたアダム爺さんの訓練を受け、羊飼いのようなものになっていました。」

また『異父兄弟』には、こんな文章も出てきます。

「私の体には兄さんのチェック柄の肩掛けがかかっていて、量足は羊飼いが着る厚手の外套で念入りに包まれていたそうです。」

この「肩掛け」は、ショールでしょうか。
どなたか外套の代りにもなる大判のショールを作って頂けませんでしょうか。

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