カッコーとカピュション

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カッコーは、鳥の仲間ですよね。ホトトギス科の鳥なんだとか。
「カッコー」と啼くから、「カッコー」なんでしょう。
英語でも「カッコー」cuckoo と言うそうですから。
江戸時代の日本では多く「閑古鳥」と呼ばれたんだそうですね。漢字なら、「郭公」でしょうか。もっともこれは宛字。「閑古鳥が啼く」の形容もあるではありませんか。これは「もの淋しい時の様子」として。
カッコーの啼き方は聴きようによっては、もの哀しく聞こえるのでしょう。

うき我を さびしがらせよ かんこ鳥

芭蕉の名句にもそんなのがあります。
正岡子規の句にもありまして。

奥山に 石切る音や 閑古鳥

正岡子規は明治のお方ですが、あえて古語の「閑古鳥」を遣ったのでしょう。
カッコーの習性に、「托卵」というのがあるんだそうです。たとえば、自分で卵を産むと。ホオジロの巣に預かってもらう。で、良い時期になると、あらためて自分の子供を引き取る。これが「托卵」なんだそうですね。
カッコーは渡り鳥でもあって、暖かい国がお好き。日本には五月の末頃にやって来る。そして七月下旬まで、滞在するんだそうです。
昔、「カッコー時計」というのがありました。ネジを巻いておくと、時間になると扉が開いて、「カッコー」と啼いて時を報らせる時計のこと。ちょっと「鳩時計」にも似ています。
長い鎖と錘とがあって、これを下に引いておくとネジが巻かれる仕組になっていたものです。
鳩時計についての名科白は、映画『第三の男』にも出てきます。劇中、オーソン・ウェルズが呟く言葉ですね。

「スイス三百年の歴史の中で何が生まれたのか。鳩時計一つである。」

余談ですが、これはオーソン・ウェルズのアドリブだったという。

カッコーが出てくる小説に、『森のバルコニー』があります。1958年に、ジュリアン・グラックが発表した物語。

「伐採地の奥、立ち並ぶ森の木々の向こうから、ときおりカッコウの一声があがってはやすむ、」

時は五月。深い森の中で。カッコーが啼くのも不思議ではないでしょう。
この『森のバルコニー』を読んでおりますと。こんな描写が出てきます。

「フードの奥には、まるで秣桶の底に納まった藁のような、やわらかなブロンドの髪が見える。」

これは物語の主人公、グランジュが森で出会った少女の様子として。少女は丈の長い、フード付きのマントを着ているので。
「フード」は和製英語。英語なら、「フッド」food でしょう。
フランス語なら、「カピュション」capchon でしょうか。
カピュションは、「キャプション」とも関係ある言葉なんだそうですね。
どなたか純白のカピュション付きのマントを仕立てて頂けませんでしょうか。

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