エレキは、電気のことですよね。
エレキ・ギターというではありませんか。
電気の力で音を大きくするので、エレキ・ギター。
エレキはもともとイレクトリックのことなのでしょう。
それがどうして「エレキ」なのか。
これは昔むかし、オランダ語から伝えられたので。オランダ語の「エレクトリシテイト」から来ているんだとか。
オランダ語の「エレクトリシテイト」は、「電気治療器」の意味だったという。
箱の中で電気を発生させて。その両端を患者に握らせて病を治す機械のこと。
「今左に図写したる物は、家茂のエレキテルを図写したる也。」
1787年に出た『紅毛雑話』にも、そのように書いてあります。
以前、長崎に壊れたエレクトリシテイトがあって。それを修理したのが、平賀源内だったのですね。
平賀源内は享保十三年に、讃岐国寒川郡(今の志度)に生まれています。
子どもの頃から、利発で。ちょっとした発明は、日常茶飯だったそうですね。
平賀源内はもともと、本草学者。今でいう植物学者だったのですが。
森羅万象、あらゆるものについて研究したお方でもありました。
江戸の南方熊楠だったのでしょう。日本のレオポルド・ダ・ヴィンチだったのでしょう。
明和六年(1769年)十月。平賀源内は、長崎へ。
また、翌年の1770年10月28日には、二度目の長崎行き。
その時、長崎の通詞(通訳)、西善三郎の家で
、壊れたエレクトリシテイトを見せてもらって。
その時、平賀源内は言った。「私が直してみましょう」。
後に江戸に帰ってから、源内は修理に成功したとのことです。
この時、源内のエレクトリシテイトの人気になって。ニセモノまでが出たという。
エレキの話が出てくる長篇に、『失われた時を求めて』があります。フランスの作家、マルセル・プルーストの代表作。
「ニワトコのいかに小さな玉の占める位置でさえ、はるかに広大な世界を統御する牽引力となる発力の作用、対立、平衡によって説明される。」
これはフランスの物理学者が実験したエレキ発生器について述べている場面。
また、『失われた時を求めて』には、こんな描写も出てきます。
「買った扇子はいずれも私からどこかの博物館へ遺贈しましょう。」
これは洒落者、シャルリスの言葉として。
扇子。フランス語なら、「エヴァンタイユ」eventail でしょうか。
フランスのエヴァンタイユは、日本の扇が源になっています。
どなたか博物館に寄付できるくらいの扇を作って頂けませんでしょうか。