サンマとサージ

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サンマは美味しいものですよね。サンマにおろしを添えて、ほんの少し醤油を落として……。日本に生まれてよかったなあ、と思う一瞬であります。
ところでサンマをどんなふうにして食べるのか。

「 「お魚の小骨を取って上手にたべることすら、できない人。ぼくダメな男ねえ」」

杉本苑子著『片方の耳飾り』の中に、そんな文章があります。杉本苑子はなにも魚の食べ方ではなくて、今川氏真 ( いまがわ うじざね )のことを語りたかったようですね。
氏真は、今川義元の息子。杉本苑子は歴史にお詳しいお方ですから。今川氏真は。

「自分のダメさを承知し、巧みにそれを利用して生きた」

そうも書いています。男心にも、いろいろあるんでしょう。では、女心とは……。サマセット・モオムが、1941年に発表した小説に、『女ごころ』が。物語の背景は、イタリア、フィレンツェ。主人公は、メアリー・パントンという美しいイギリス人女性なんですね。
サマセット・モオムは、「女ごころ」を語る資格のある作家でしょう。その人生で、恋愛もし、結婚もし、様ざまな経験をもしていますから。1916年にはシリィと結婚して、後に別れています。『女ごころ』の中に。

「裁断のいい紺サージの服と、黒のホムブルグ帽といったいでたちで、背が高くほっそりしたところは、スポーツマン・タイプでもあり、れっきとした紳士風でもあった。」

これはエドガーという男の着こなしなんですね。紺サージのスーツ、昔ずいぶんと流行ったものですが。もともとはシルク地で、スペイン語の「セルガ」 xerga と関係があるようです。
サージの服を着て。サンマを食べに行くとしましょうか……。

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