ベーコンはふだんから、よく食べますよね。
ベーコン・エッグだとか。イギリスでの朝食にも、ベーコン・エッグはよく出てきます。そしてイギリス人は、カリカリのベーコンが好きなんだそうです。
ベーコン・エッグだけでなく。ベーコンさえあれば、なにか料理が作れる。生でよし、焼いてよし、煮てもよし。
金子信雄著『楽しい夕食』には、ベーコンを使って揚げる料理が出ています。名づけて、「カキのベーコンフライ」。カキをさっと洗いまして。これをベーコンで巻く。巻いてから楊枝で止めて、高温で揚げる。それが、金子信雄流「カキのベーコンフライ」なんだそうです。
ベーコンは、ラルドと関係があるらしい。ラルドはよくイタリアで食べる、豚の脂身のベーコン版。フランスではこれを、「ラール」と呼ぶんだとか。ラルドは紙のように薄く切って、パンにはさんで食べると、まことに美味しいものです。
ラルドは、古代ギリシアの時代からあったという。たぶんベーコンの元祖はこのラルドなんでしょうね。
ベーコンが出てくるミステリに、『灯台』が。2005年に、P・D・ジェイムズが発表した物語。余談ですが。『灯台へ』となりますと。同じくイギリスの、ヴァージニア・ウルフの名作。「トゥ・ザ・ライトハウス」か、「ザ・ライトハウス」かの違いなんですが。
「それからベーコン。自分でベーコンを作っている本土の肉屋から来ます。」
これは、料理人のプランケット夫人の科白。『灯台』の背景になっているのは、「カム島」。ここは特別な、高級保養地になっていて、プランケット夫人は料理の担当という設定。カム島は、コーンウォール沖の島。もっとも物語上の、架空の島なのですが。また、こんな描写も。
「がっちりした体型をして、複雑な模様入りの紺色の分厚いフィッシャーマン・セーターを着て……」。
これはカム島のボート担当者、ジェイゴー・タムリンの着こなし。「複雑な模様入りの……」。もしかしたら、フェアアイル・スェーターでしょうか。
さて、フェアアイル・スェーターを着て。美味しいベーコンを食べるとしましょうか。