モンローといえば、マリリン・モンローでしょうね。
マリリン・モンロー主演の映画に、『七年目の浮気』があります。1955年の、二十世紀FOXの映画。監督は、ビリー・ワイルダー。
ビリー・ワイルダーははじめにモンローの相手役に、ゲイリー・クーパーを考えていたという。もし、そうでなければ、ウイリアム・ホールデンか、ジェイムズ・ステュアートを。
『七年目の浮気』はもと、ブロードウエイの演劇で、そこに出ていた舞台俳優の、トム・イーウエルに白羽の矢が立てられたんだそうです。トム・イーウエルは、ゴールデングローブ賞を得ています。
『七年目の浮気』の中に、モンローが地下鉄の通風口に立つ場面があります。あれは、ロケ。NYの、レキシントン・アヴェニューで。このロケには見物人が集まりすぎて。見物客のざわめきで、撮影ができない。スタッフは汗を流して、「お静かに!、お静かに!」。でも、騒ぎは大きくなるばかり。
その時、モンローが人差し指を自分の唇にあてると、波が静まるように静かになったという。もっともこのロケでのフィルムは使えなかったらしい。スタジオに、通風口を再現しての、撮り直し。ビリー・ワイルダーはあの一カットのために、40回フィルムを回したそうですね。
モンローは『七年目の浮気』の後。NYの「アクターズ・スタジオ」に入門。「本格女優」になるために。
『七年目の浮気』の中に、モンローがシャンパンを飲む場面があります。ツマミはポテトチップス。内田百閒は、「オカラにシャンパン」だったそうですが、モンローは「チップスにシャンパン」だったのでしょうか。
シャンパンが出てくる小説に、『外套』があります。ロシアのゴーゴリが1842年に発表した傑作。
「肉饅頭と、それにシャンパンなどで夜食がでた。」
「肉饅頭」はピロシキに似たものでしょうか。これは主人公の、アカーキイ・アカーキエウイッチの「外套」が仕上がったので、そのお祝いをしてもらっている場面。
そのアカーキイの「外套」を縫ったのが、仕立屋の、ペドローヴィッチ。ペドローヴィッチはどんなふうにして「外套」を縫ったのか。
「絹糸を使って、縫目を細かく二重に縫ってから、ペドローヴィッチは縫目という縫目に自分でさまざまの歯型を刻みつけながら、緊め固めたほどであるから。」
なんと丁寧な縫目なんでしょう。
ちゃんとした縫目のコートを着て。モンローの映画を探しに行きましょうか。