ステンドグラスは、色硝子による芸術品ですよね。ステンドグラスを見上げて心揺さぶられない人間は、まず少ないでしょう。なぜか、敬虔なさせるところがあります。
ところが、ステンドグラスが人生を変えた例があります。それは、モリス。かのウイリアム・モリス。それは1855年、北フランスのことでありました。
1855年7月19日。ウイリアム・モリスは、フランスへ旅立つ。連れは、バーン=ジョーンズ、フルフォード。三人旅。もちろん多く、徒歩で。モリス、二十一歳このこと。
やがて一行は北フランスのルーアンに着く。この時、「ボーヴェ大聖堂」で、ステンドグラスに出会うのです。後に、ウイリアム・モリスは、『オックスフォード・アンド・ケンブリッジ・マガジン』の中で、こんな風に書いたいます。
「初めてアミアン大聖堂に入った時、私は叫び声をあげたい気持ちになったと思う。」
それでモリスは、建築家になることを誓うのです。同じように、バーン=ジョーンズは画家になることを。
もし、この時、モリスにステンドグラスへの感動がなかったなら、また違った人生があったのかも知れませんが。
ステンドグラスはもちろんイギリスにもあるでしょう。イートン校にもあるでしょう。
イートン校に学んだ人物に、ジョナサン・フランクリンがいます。ジョナサン・フランクリン著『イートン校の二羽のフクロウ』に、こんな一節が出てくるのです。
「13歳で燕尾服に白の蝶ネクタイといういで立ちでイートン校に到着した僕は、震え上がるくらい緊張していました。」
イートン校は「紳士」を育てるのが目的なので、「紳士の服装」が、伝統的にスクール・ユニフォームになったいるのです。
紳士にははるか遠いのですが、ステンドグラスには「震え上がる」ほうであります。