グロッグとグリ

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グロッグは、飲み物のひとつですよね。grog と書いて、「グロッグ」と訓みます。ラム酒を水で割ると、グロッグ。時と場合はよって、ラムに湯を加えることもあるでしょう。
グロッグは、おしゃれ語とも関係しています。酒のグロッグは、生地のグログランから来ているのです。
グログランgrogram は、畝織の絹地。よく女性のイヴニング・ドレスなどにも用いられるものです。男の場合には、ソフト帽のハット・バンドの布地にも使われることがあります。
時は、1740年。場所は、西インド諸島。ここに英国海軍の艦船が浮かんでいて。ラム酒を生で飲むことが禁止されて。水割ラムが薦められたのです。
それを言い出したのが、リチャード・ヴァーノン提督。水兵たちには、この水割ラムが不人気で、ついたあだ名が、「グロッグ」。なぜなら、ヴァーノン提督の別名が、「オールド・グロッグ」だったから。ヴァーノン提督はいつもグログランの外套を羽織っていたので。
でも、生のラムよりも、水割ラムの方が、結果として多く飲むことに。当然、酔ってしまう。ここから、「グロッギー」groggy の言い方が生まれたわけですね。
英語のグログランは、フランス語の「グログラン」gros
grain に由来しています。「大粒の穀類」。

グロッグが出てくる小説に、『倫敦から来た男』。1934年に、フランスの作家、ジョルジュ・シムノンが発表した物語。

「あまり食べないのね。グロッグを作ってあげましょうか」

これは「マロヤン」が家に帰った時の、奥さんの科白として。マロヤンは風邪で食欲がなかったので。
また、『倫敦から来た男』には、こんな描写も出てきます。

「男はグレーのオーバーにグレーのフェルト帽をかぶり、皮手袋をはめ、たばこを吸っていた。」

これはマロヤンから眺めての見知らぬ男。つまり、グレイ・オン・グレイの着こなしになっているわけですね。
「迷ったら、グレイ」の言葉もあります。
グレイとグレイとの微妙な重なり。悪くないものです。
フランスなら、「グリ」gris でしょうか。
どなたかグリのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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