パンとパターン

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パンは、ブレッドのことですよね。これがパン屋となりますと、「ベイカー」。ロンドンに、ベイカー・ストリートがあるのは、ご存じの通りでしょう。
なにもロンドンまで行かなくても、近所に贔屓のパン屋があるはずです。少し歩いてでも「○○屋」のレーズン・ロールが好きだとか。
「パン屋の一ダース」という言葉があります。パン屋の一ダースは、「十三個」になります。英語なら、「ベイカーズ・ダズン」。
その昔、パン屋の目方不足がきびしく罰せられた時代があったんだそうですね。そのために、表示の重さよりも多く入れた。その習慣から、「パン屋の一ダース」の言い方が生まれたんだそうです。
パン屋が出てくる物語に、『小公子』があります。たぶん子供のときにお読みになったことがおありでしょう。
1886年に、バーネットが発表した物語。フランシス・ホジソン・バーネットは、1849年に、英国のマンチェスターに生まれています。フランシスは十六歳の時、一家でアメリカに移住。1873年には、医師のスワン=バーネットと結婚しています。

「牛乳屋さんやパン屋さんやリンゴ屋さんも好きだったけれど………」

これは物語の主人公、セドリックの様子。セドリックはとても可愛い少年で、町の誰からも愛されていたのです。
バーネットの『小公子』は、おしゃれと大いに関係があります。
それは「フォントルロイ」fauntleroy を世に広めたからです。「フォントルロイ・スーツ」だとか。服飾辞典にももちろん、出ています。
これは『小公子』の中で、セドリックが着ていた服装のことなのです。黒いヴェルヴェットの上着に、白いフリルのシャツという組合せのこと。つまり「小公子ルック」のこと。
十九世紀末の上流階級では、皆、フォントルロイ服を子供に着せたがったほどなのです。

パンが出てくる小説に、『クローゼン桟橋のさざ波』があります。2002年に、アン・パッカーが発表した物語。

「パンはいかが? 食べ物をたくさんいただいちゃってねえ、どうしていいかわからないのよ」

これは「メイヤー夫人」の言葉として。また、『クローゼン桟橋のさざ波』には、こんな描写も出てきます。

「まずは、しわくちゃの薄紙にアイロンをかけ、自分で納得がいくまで、ひと巻きの布のうえで型紙を動かす。」

これは服を仕立てている場面として。
「型紙」。英語なら、「パターン」pattern でしょう。服づくりの基本となるのが、パターン。裁断師なら誰もが慎重になる一瞬です。
どなたか大胆不敵のパターンでスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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