靴下とクラヴァット

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靴下は、ソックスのことですよね。もっとも、ホーズもあれば、ストッキングもあるわけですが。もっと短い靴下に、「アンクレット」anklet もあるようです。
靴下というからには、「靴の下着」なのでしょうか。見えるようで見えない下着。見えないようで見える下着。そんなふうにも言えるでしょう。
靴下で思い出すものに、靴下吊りがあります。ガーターですね。この靴下吊りにも大きく分けて、ニ種類があって。ひとつは、輪ゴムの幅を広くした形のもの。もうひとつは、吊り下げ式。膝の下で一度巻いておいて、そこから垂らした留具で靴下の履口を吊るす方式のもの。
これはイギリス英語で、「ソックス・サスペンダー」と称するものであります。
靴下吊りを使うか使わないは、好みの問題でしょう。でも、クラシックな小道具として、靴下吊りがあったのは、記憶しておきたいものですね。

「靴下止めのところに、いつも銀の小鈴を結えつけて、歩くたびにそれがカラカラ鳴るの。」

昭和二年に、池谷信三郎が発表した小説『橋』に、そんな会話が出てきます。うーん、そんなおしゃれもあったのでしょうか。
靴下が出てくる名作に、『女の一生』があります。1883年に、モオパッサンが発表した長篇。

「黒靴下に着けた痩せた脚に泥だらけの馬鹿でかい靴をはいているのが見える。」

これは、神父の姿として。
また、『女の一生』には、こんな描写も出てきます。

「細身のネクタイを幾重にも首に巻いているために、しぜん顔が高々とおきあがっている。」

これは「ラマール子爵」の着こなし。たぶんフロック・コートに、クラヴァットを結んでいるのでしょう。
十九世紀のクラヴァットは、頸元に高く高く結ぶのが、粋とされたものです。それは主に白のモスリン地で、今のスカーフよりもまだ長い布地だったのです。
どなたか現代版のクラヴァットを作って頂けませんでしょうか。

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