みかんとモーニング

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

みかんは昔、不老長寿の果物とされていたんだそうですね。
もちろん、あくまでも伝説なんですが。
垂仁天皇の時代というのですから、古い話。ほとんど神話ですね。
ある日、垂仁天皇は、田道間守 ( たじまもり ) にお命じになった。
「常世の国に行って、不老長寿の果物を求めよ」と。
「常世の国」 ( とこよのくに ) とは、理想郷のことなのですね。田道間守は常世の国へ行って、不老長寿の果物を手に入れる。で、帰ってみると、垂仁天皇はお隠れになっていた。田道間守は哀しんで、哀しんで。泣きに泣いて。とうとう天皇の墓の前で死んで死んでしまう。田道間守の死んだ跡から、柑橘の木が生えてきたという。
みかんはたいてい皮をむいて、中味を食べる。ところがみかんの皮を干して、粉にすると、陳皮。漢方薬の一種であります。今から二千年ほど前に、みかんを不老長寿の果実といったのは、それほど間違ってはいなかったのでしょう。
みかんの出てくるミステリに、『チャイナ・オレンジの秘密』があります。エラリイ・クイーンが、1934年に発表した物語。

「ちょいとオレンジのつまみ食いでもやったというのか?」

これは、リチャード・クイーンの科白。また、こんな描写も。

「モーニングのえりに彼自身みたいにちょっとしなびたクチナシの花などをさした優雅な人物だったが………」

これはホテルの支配人、ナイの着こなし。たしかに。モーニング・コートに花を挿すのは、粋なものですね。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone