ヴォラーレとパール・グレイ

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ヴォラーレという歌がありますよね。まさしく青空の美しさを謳歌しているような、明るい歌。イタリアの、代表的なカンツオーネ。ドメニコ・モドゥーニョの作詞、作曲。そして、歌唱。ただし、今では多くの歌手によって歌われていますよね。
『ヴォラーレ』が出てくる短篇集に、『逆さまゲーム』があります。イタリアの作家、アントニオ・タブッキの書いた物語。

「わたしが「ヴォーラーレェ」と歌うと、みながいっせいに「オー、オー、オ、オー」、わたしが「カンターレェ」と歌うと、みながいっせいに「オー、オー、オー、オー」とやる。」

これはジョセフィーヌが、リーナに宛てた手紙という設定になっています。題して、『カサブランカからの手紙』。
『カサブランカ』は土地の名前でもあり、名画の名前でもあります。1942年の製作、1943年の公開。
『カサブランカ』は名文句の宝庫でもありますね。「君の瞳に乾杯!」だとか。あるいはまた。
「ゆうべはどこにいたの?」と問われて。
「そんな昔のことは覚えていない」。「今夜会ってくれる?」と問われて。
「そんなに先のことは分からない」。とか。
『カサブランカ』が作られていた1942年に刊行されたのが、『完全犯罪』。エラリー・クイーンのミステリ。この中に。

「長椅子の上に置いてあるパール・グレイのフェドラの帽子を見おろしていたが………」。

これはもちろん、エラリー・クイーンの様子。「フェドラ帽子」は、たぶんフェドーラのことでしょうね。それが、パール・グレイだった、と。フェドーラであろうとなかろうと、パール・グレイは粋な色。もっとも洒落者にふさわしい色ではないでしょうか。
ふだんからもっと、パール・グレイを愛用したいものですね。

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